女優で小説家としても活躍する中江有里(45)が3日、26年ぶりの“新曲”を人前で歌った。この日、中江は作詞家松井五郎氏(61)と東京・代官山のT-SITEに100人を集めて「トーク・ギャラリー」と題したトークショーを集めて行った。

今年6月に出版した小説「トランスファー」の世界観を元に松井氏が「名前のない海」という詞を書き、それに曲をつけて中江が歌った。さらに松井氏作詞の92年のシングル曲「真夏の楽園」も熱唱して、アイドル歌手時代と変わらぬ澄みきった高音で大きな拍手を浴びた。

中江は「2週間前に、急に持ち上がった話ですごく緊張しました。『真夏の楽園』は18歳の時に歌った曲ですが、今の方が理解できているような気がします」。松井氏は「女優、小説家として活躍している中江さんですが、歌の世界にも戻ってきてほしい」とエールを送った。

歌の前には「トランスファー」の冒頭をピアノとバイオリンの生演奏に合わせて朗読。松井氏に「どのような視点で小説を書いているのか」と聞かれると、中江は「あんまり情報を書き込みすぎても、それは読者の求めるものじゃないかもしれない。ドラマや映画の撮影のようにカメラを置いて、そこに映るものを書いています。女優の経験が小説に役立っているのかも知れませんね」と笑顔を見せた。

中江のシングル5枚の10曲中、3曲を作詞している松井氏だが、実際に対面したのは2年前が初めて。この日は、オープニングで中江の過去のCD、小説などの作品を映像にまとめて披露。中江は「私が持っていない作品まで持ってらっしゃる。この映像は、私のお葬式で過去を振り返るときに使ってもらうのにいいかも」と冗談をとばした。松井氏は「トランスファー」の帯に「作詞家・松井五郎氏、絶賛!」と書かれていることに「すごくうれしい」と笑顔を見せた。