俳優千葉真一(80)が7日、都内で900人を集め「芸能生活60周年記念祝賀会」を開いた。

1959年(昭34)に東映ニューフェースとして映画界入り。60周年とあって「中身の濃い計画を立てた」と3時間半のパーティーのために、7時間のリハーサルをこなしてから、開宴前に1人で会見に応じた。会見には、俳優の長男新田真剣佑(22)と次男眞栄田郷敦(19)も同席予定だったが、真剣佑の撮影の仕事が伸びたため単独会見となった。

「リハーサルで疲れちゃって」と苦笑いした千葉は、80歳とは思えぬ精悍(せいかん)な表情を見せながらも「私の子供たちが、この世界に入ってくれた。魅力を感じたんだろう。いいけじめかなと思って」とパーティー開催について説明した。

60年の俳優生活で1500本近い映画、ドラマ、舞台の作品に出演。千葉は「子供たちは知らないと思うので、私の世の中を1度ちゃんと見せておこうと思った。でも、本当に親不孝ですね、時間通りに来ないなんて。仕事だからしょうがないけど」と苦笑いした。

長女の女優真瀬樹里(44)も含めて3人の子供が全員、俳優になった。千葉は「僕は1回も勧めたことがない。私の影響なのかは分からないけど、この世界に入ったからには半端なことは許さない。2世のタレントはたくさんいるが、偽者になるな」とエールを送った。

長く俳優として活躍するために「どうしたらいいかを伝えている。(能楽の)世阿弥が600年前に書いた『風姿花伝』をしっかり読みなさいよと言っている。『初心忘れるべからず』とか『役者に花がある』という言葉は『風姿花伝』から出ている」と話した。

自身の60年間に及ぶ俳優生活については「すてきな、いい映画屋に出会った。いい仲間に出会った。いい師匠に出会った。1400本以上の作品を撮れたのは、すてきな仲間がいたから。今日はお礼を言おうと思っている」と笑顔を見せた。

70年にはアクションスターの育成を目指してジャパンアクションクラブ(JAC)を設立。志穂美悦子、真田広之、堤真一らを輩出した。「きっかけは深作欣二監督の影響。『肉体は俳優の言葉なんだ』と。まず体を鍛えて喜怒哀楽がある」と恩師をしのんだ。深作監督は、61年の自身の初監督作品「風来坊探偵 赤い谷の惨劇」で千葉を主役に起用した。千葉は「第1回監督作品で深作さんが僕を抜てきしてくれた。映画の基礎を徹底的に仕込んでくれた。これがなかったら、僕はない。何よりもお礼をいいたい」と話した。

80歳になったが、元気いっぱい。「80歳って思ったことがない。俳優に年齢は関係ない。まだ体力はある。まだ80歳の役はやりたくない。あと10年くらい頑張ったら、70、80歳の役をやる。でも、ずいぶんと衰えてきてはいる」と話した。

今後の目標については「深作さんの跡を継ぎたい。演出をやってみたい」。3人の子供たちとの共演には「僕は何の抵抗もないんですけど『オヤジとはやる気がない』って言うかも」と笑った。ハリウッドでもアクションスター、サニー千葉として知られた千葉は「2人の息子は外国で育っているからね。外へ出る気持ちは持っているみたい」と話した。

60年という時間の長さについては「メチャ、短かった。まだ、これからいろいろやろうとしている。80歳というのは、考えて見たら老人。私は、そう思ってないけど」と話した。