11月11日に急死した漫才師平川幸男さん(享年78)と「Wヤング」を組んでいた佐藤武志(65)が3日、35年ぶりに吉本新喜劇へ復帰し、大阪・なんばグランド花月で、新喜劇座員として再出発した。

川畑泰史(52)座長の舞台で、末成由美(72)らとともに出演。20代の前在籍時代から武器のキレ芸を発揮し、早速、妻の浅香あき恵(63)を壁に投げ付けた。「久しぶりで息が上がりました。もう(妻を)投げたん久々なんでね、重たなってましたね」。

浅香も「昔は細かったから」と言いながら、夫の再出発を無事に迎え終え「自分のことより緊張した。娘の発表会を見てる気分でした。ちゃんとしゃべりや! って感じで」と笑った。

新喜劇出身の佐藤は、平川さんの「Wヤング」2代目相方として、84年にコンビ結成。平川さんが故中田治雄さんと組んだ初代「Wヤング」は、横山やすし・西川きよし、ビートたけしも恐れた腕前を誇ったが、中田さんの急死で消滅。平川さんが新喜劇で活動を始め、佐藤と出会っての第2次結成だった。

佐藤は「今(の新喜劇)はスピードが速い。僕ら昔は『花紀(京)・岡八(郎)時代』でしたから、芝居をがっつり、とにかく『ゆっくりしゃべれ』となんべんも怒られた。今はほんま、速いから、感覚がおかしくなる」。漫才コンビを組んだ後も、新喜劇へ出演したことはあったが、この日、正式に座員として迎えた復帰初日を振り返った。

佐藤の相方、平川さんは昨年末から体調を崩し、今年4月にいったん復帰したが、その後再休養。佐藤は「4月、5月と悩み、やっぱり古巣に戻るのがええかなと思った」と言い、8月に新喜劇復帰を決意していた。平川さんから「(復帰の姿を)テレビ(で)見せてくれよ」と応援の言葉もあったと明かした。

ただ、コンビ解散と佐藤の新喜劇復帰を極秘裏に進め、11月12日に発表の段取りだったが、前日11日夜に平川さんの容体が急変し、亡くなった。それから1カ月足らず、佐藤は心の整理をつけ復帰を果たした。

「もう25歳の時からキレ芸やってるからね、このままパワフルにいきたい。僕の目標は桑原和男さんの83歳(まで現役)です。83歳まで暴れ倒す」と力強く宣言した。

川畑座長も往年の新喜劇を知る佐藤に「今は若返ってるから、僕らの父母世代で、笑いも分かって、しっかりお芝居できる人は貴重。古き良き部分も分かっている人に、そのまま伝えてもらいたい」と期待。

歌手、殺陣師を経ての新喜劇加入で、佐藤の“後輩”になる末成も「うん、そやね。早く今の若い人たちに慣れてほしい」と話していた。