ベテラン俳優の久米明(くめ・あきら)さんが23日午前、心不全のため都内の病院で亡くなった。96歳だった。葬儀・告別式は近親者のみで行う。

戦後、東京商科大(現一橋大)の演劇研究会を立ち上げ、その後、劇作家木下順二さんや山本安英さんらと「ぶどうの会」を創立し、「夕鶴」に出演。劇団昴にも所属し「どん底」「セールスマンの死」に主演した。知的な風貌で弁護士や医師役が多く、映画「金環食」で政府高官を演じた。独特の語り口で洋画の吹き替えを担当し、ハンフリー・ボガートが有名だった。

ナレーションも海外紀行番組「すばらしい世界旅行」を20年以上、NHK「鶴瓶の家族に乾杯」も90歳を超えても長年担当し、国内最高齢の声優として活躍した。昨年3月に体調を崩して降板、都内の高齢者施設に入った。23日未明に容体が急変、搬送先の病院で亡くなった。次男は作曲家久米大作さんで、その妻は歌手の久保田早紀さん。92年に紫綬褒章を受章した。