新潟県内のFMラジオ局「FM PORT(ポート)」が30日で閉局、00年12月の開局から19年半の歴史に幕を下ろす。同局でスポーツ情報を主に扱ってきたフリーアナウンサーの立石勇生さん(40)も、レギュラー番組をこなしながらラストに備えている。03年に同局の番組に携わってから17年。スポーツパーソナリティーとしての地位を築いてきた。感謝を胸に、最後の瞬間まで仕事を全うする。

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寂しさよりも感謝が強い。「最近はリスナーの方が『最後まで聞きます』など、いろいろな声を届けてくれます。やって来られてよかったなと思いますね」。立石さんはすっきりとした気持ちで残された日々を過ごしている。

03年からFMポートでパーソナリティーを務めてきた。「ミント・コンディシヨン」(毎週月~金曜、午前10時~午後1時)、「グッドモーニング・ポートシティー・サタデー」(毎週土曜、午前7時~午前11時30分)を担当。「グッドモーニング…」ではB1新潟、J2新潟の選手、新日本プロレスのレスラーなど多彩なゲストを迎えてトークを届けた。「新日本の選手は1、2カ月に1回出演してもらいました。『もしかしたら今回が最後かな』と思うときはありますね」。6月に入り、少しずつエンディングを実感してきた。

J2新潟、B1新潟のホーム戦の実況も担当、同局のスポーツ部門をほぼ1人で担ってきた。ラジオで専門的にスポーツを伝えることができる、県内ではオンリーワン的な存在。「始めた当初、自分を生かせるものは何かと考えたとき、やるのも見るのもスポーツが好き。じゃあやってみようかと」。

03年、反町康治監督(56)のもと、新潟が初のJ1昇格を果たした。バスケの新潟BBは朱鷺メッセを満員にしていた。新潟のプロスポーツが盛り上がっていく流れでパーソナリティーとして携わった。「パーソナリティーも取材も初めての体験。プロの試合の現場に行く特別感は楽しかったですね。そこに責任、使命感が後からついてきました」。放送終了後はリサーチに時間をかける。新聞をすべて読み、ネットで検索。その上で直接取材に足を運ぶ。経験を積むうちに自然と仕事の形ができてきた。

ラジオの前はホテル、アパレル業に就いていた。ラジオは人生の転機になった。「局への感謝はつきません」。27日は「グッドモーニング…」の最終日。何か特別なことをしよう、とは考えていない。「いつも通りにやり切りたいです。それが僕らしいと思う」。淡々と丁寧に。思いを込めて最後の日を迎える。【斎藤慎一郎】

◆立石勇生(たていし・ゆうき)1979年(昭54)11月20日生まれ、新潟市出身。小学、中学、高校とバスケ部。「ミントコンディション」「グッドモーニングポートシティーサタデー」などでパーソナリティーを務める。趣味は自転車。