米俳優ジョージ・クルーニー(59)が、米ケンタッキー州で黒人女性のブレオナ・テイラーさんが警察官に射殺された事件で発砲した警察官が殺人罪に問われなかったことに対し、批判の声明を発表した。

テイラーさんは今年3月に自宅で恋人と就寝中に麻薬捜査のためにドアを破って部屋に踏み込んできた警察官に射殺された。事件から半年が経過した23日に行われた大陪審で現場で発砲した3人の警察官のうち1人が無謀な危険行為の罪で起訴されたが、残る2人は不起訴となり、誰も殺人罪には問われることはなかった。

この判決に対し、ケンタッキー州出身のクルーニーは「私はケンタッキーの農場でたばこを刻む仕事をしていた。両親も妹もケンタッキーに住んでいる。ケンタッキーの家も持っているし、先月も訪れていた。私が信じるように教えられた司法制度は、人々に自分の行動の責任を取らせるもの。彼女の名前はブレオナ・テイラーで、彼女は殺人罪で起訴されない3人の白人警察官によってベッドで撃たれて亡くなった。私はケンタッキーの学校や教会で正しいこと、悪いことが何かを教えられた。この判決を恥じている」とコメントしている。

同州のキャメロン司法長官は、テイラーさんの恋人が先に発砲したことを理由に3人の警察官の発砲については「正当な行為だった」との見解を示したが、判決を受けて「また白人警察官が無罪になった」と批判の声が上がっており、全米各地で抗議デモが起きている。クルーニーの他にもオスカー女優ビオラ・デイビスやシャーリーズセロン、人気司会者のオプラ・ウィンフリー、歌手アリシア・キーズら多くのセレブもSNSで抗議の声を上げている。

テイラーさんの事件を巡っては、遺族が今年4月に起こした民事訴訟で先日、警察官の発砲によって死亡した黒人女性としては過去最高となる1200万ドル(日本円13億2000万円)の和解金をルイビル市が遺族に支払うことで合意したばかりだった。(ロサンゼルス=千歳香奈子)