先月末、東北出身の女性ソロ歌手3人によるユニット、みちのく娘!のコンサート「今できること~ソーシャルディスタンスコンサート」を東京・有楽町よみうりホールで見た。工藤あやの(26)津吹みゆ(24)羽山みずき(28)の3人で、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、ユニットとしては約11カ月ぶりの有観客コンサートだった。観客は半分に減らし、マスクは必着。声援はなく、拍手で後押しした。それでもリモートではない“ナマ”の楽しさを十二分に満喫した。

毎年、大小100前後のコンサートやライブを見ているが、今年はすでに年末なのに、みちのく娘!を入れても10に満たない。もちろんコロナ禍の影響だ。来年はもう少し見られるだろうかと期待していたら、そうでもないらしい。

コンサート会場が押さえられないのだ。延期となった東京オリンピック・パラリンピックで、日本武道館、国立代々木競技場、東京国際フォーラム、幕張メッセ、埼玉スーパーアリーナなどが来年秋まで使えない。さらに全国の市民会館なども、コロナ禍で延期となった歌手の代替公演ですでに詰まっている。福田こうへい(44)は今年、160公演を予定していたが、133公演が中止または延期となった。そんな歌手がわんさかいる。この状況を見越して、素早く予約している歌手、アーティストも多く、それがさらに会場を押さえづらくしている。

演歌系歌手はいわゆる「営業」で、全国各地の市民会館などを回る。チケット代、CD即売、グッズ売り上げが収益となる。それが途絶えると死活問題だ。演歌系のファンは比較的年齢層が高いが、コロナ禍でパソコンを使ったリモート鑑賞にも慣れてきたようだが、限界はある。ある芸能事務所の幹部は「演歌系だけでなく、ロック、ポップス系のアーティストも同じ状況です。特に大きな箱(会場)を必要とするミュージシャンには、来年も厳しい状況が続くでしょう。感染予防対策で観客を半分にすると当然、収益は半減する。それなら昼夜2公演でと思っても、すでに2公演できる会場は押さえられてしまっているんです」と語る。

ならば学校の体育館でもと思うが、コロナ禍が続けば外部の立ち入りは不可能。来年もコンサートやライブが見られない日々が続きそうだ。【笹森文彦】