乃木坂46が2月23日、デビュー9周年記念ライブ「9th YEAR BIRTHDAY LIVE」を生配信した。

印象的だったのは、エース齋藤飛鳥(22)を“温存”した序盤のセットリストと、若手メンバーの台頭だった。

2曲目の「インフルエンサー」では3期生の与田祐希(20)山下美月(21)をダブルセンター、続く「シンクロニシティ」ではやはり3期生の梅澤美波(22)が初センター。4曲目の「何度目の青空か?」こそ1期生の生田絵梨花(24)だったが、続く「帰り道は遠回りしたくなる」では4期生の遠藤さくら(19)が単独センターを務めた。1曲目の「ぐるぐるカーテン」6曲目の「君の名は希望」含め、冒頭から6曲の全体曲で、齋藤は1度もセンターに立たなかった。

2年前の夏、7月3日。「真夏の全国ツアー2019」の初日、ナゴヤドーム公演。前年末で西野七瀬(26)が卒業し、白石麻衣(28)は別仕事のため欠席していた。1曲目のインフルエンサーは齋藤と山下のダブルセンター、続く「命は美しい」は齋藤の単独センター。1曲挟んで4曲目の「太陽ノック」、さらに7曲目の「裸足でSummer」でも齋藤がセンターを務めた。

当時は序盤の全体曲7曲中、過半数の4曲で齋藤がセンターを務めていた。齋藤は中盤の「制服のマネキン」「シンクロニシティ」でもセンターに立ち、終盤にはドラムソロを披露した後、「ジコチューで行こう!」「Sing Out!」などでもやはりセンターだった。

人気はトップクラス、加えてしなやかなダンスでパフォーマンス力も高い齋藤は、白石や西野の代わりにセンターを務めても十分にファンを魅了できる存在だ。獅子奮迅の活躍を見せたが、もはや野球で言うなら「齋藤、齋藤、雨、齋藤」状態だった。ライブを観戦した出版関係者は「ちょっと飛鳥さん1人に負担が掛かりすぎているかもしれませんね」と話していた。

この2年間で、状況は大きく変わった。昨年10月に白石が卒業して白石・西野の2枚看板はいなくなったが、16年9月に3期生、18年11月に4期生、昨年2月には研修生期間を経た4期生がさらに加わり、めきめきと頭角を現している。1、2期生たちの活躍を見て乃木坂46に加入してきた若手メンバーたちが、次々と先輩たちのポジションに入り、堂々とパフォーマンスするようになってきた。

今年のバースデーライブ。齋藤は中盤から終盤にかけて、「Route 246」や「Sing Out!」などでセンターに立った。「ここぞ」というタイミングで齋藤を使えるようになったことが、「新生・乃木坂46」を象徴しているようだった。

齋藤が現在もエースの筆頭格であることは間違いない。ただ、たとえエースでも、“酷使”すれば勝負どころで本領を発揮できるとは限らない。若手の台頭が、結果的に齋藤の魅力をも押し上げているのではないか。

乃木坂46は今年8月、結成から10周年を迎える。一般的に、世代交代に苦心するアイドルグループが多い中で、大きな節目を前にした乃木坂46には光明が差している。【横山慧】