タカラジェンヌを育成する宝塚音楽学校107期生39人の卒業式が3日午前、兵庫県宝塚市の同校で行われ、学びやから巣立った。

19年春に入学した107期生は2年にわたり、歌やダンス、芝居などを学んできた。昨年4月の緊急事態宣言後は約2カ月、戦後初の臨時休校となり、自習やオンライン授業を重ね、芸に磨きをかけてきた。

卒業の本科生、在校の予科生とも、全員が事前にPCR検査を受け、陰性を確認。この日の式典は、同校講師や学校関係者も、原則として出席を見合わせ、保護者の出席も「卒業生1人につき2人まで」に制限。校歌斉唱を取りやめ、事前録音とした。

さらに昨年と同様、恒例の予科生、本科生による「ブーケ渡し」も中止。卒業証書授与、表彰の際、例年なら、講堂内に「はいっ!」と、音校生ならではの響き渡る返事も控えられた。

それでも、当初は、昨年の108期生入学式にならい、広い空間がある宝塚大劇場敷地内ロビーでの開催が検討されたが、学校関係者らに「2年にわたり、タカラジェンヌとしての素養、品格を育んだ学びやから巣立ってもらいたい」との思いが強く、校内講堂での式典となった。

宝塚歌劇団の創始者、小林一三氏のひ孫にあたる小林公一校長は3月31日付での退任が決まっており、校長としては最後の卒業式。小林校長は「107期生の本科生としての生活は、今までとまったく違う状況で始まりました。今まで当たり前だと思っていたことが次々と中止になり、授業再開も6月からとなってしまいました」と、コロナ禍に揺れた卒業生を思い、あいさつ。

2月に行われた卒業公演となる文化祭にも言及し「(コロナ禍ゆえ)1日1日を大切に授業に励み、107期生全体で向上していくんだという迫力を感じていました」と賛辞。同時に卒業は「ゴールではありません」とし、今後、劇団で入団式に臨む39人に「自らの夢実現に向けて自らが努力し、成長していかなければならない世界に踏み込んでいきます」「どのような状況に置かれても、音楽学校で学んだことを自信として、対応していける力を養ってほしい」と、言葉を贈った。

卒業生39人は、6月25日に宝塚大劇場で開幕する宙組公演で初舞台を踏む。例年は4月初日公演で初舞台生ラインダンスが組まれるが、今年はコロナ禍で公演日程がずれこみ、4月花組、5月月組と退団公演が続くこともあって、6月のお披露目となったようだ。