竹野内豊(50)が13日、東京国際フォーラムで行われた、WOWOWオリジナル連続ドラマW「さまよう刃」(15日スタート、土曜午後10時)完成報告会で「かなり重いシーンを撮った後、私生活でも、気持ちで苦しんだことがありました」と吐露した。

「さまよう刃」は、04年に出版された東野圭吾氏の小説のドラマ化作品。竹野内は、ドラマW初出演&主演で、妻を亡くした後、男手1つで育ててきた1人娘が少年たちに薬物を打たれ、レイプされて惨殺され、復讐(ふくしゅう)に突き進む主人公長峰重樹を演じた。

竹野内は「この台本を頂いて、読んで、もしも自分自身に起こったら、どうなるだろうかと考えた。大事な家族、友人が同じような、むごい殺め方をされたとしたら、同じような感情になるんじゃないかと思った」と、かみしめるように語った。その上で「役を引きずったりはしない。オン、オフの切り替えは出来ると思っているんですけど、今回の作品は、かなり重いシーンを撮ったら、2日くらいはヘビーな気持ちが抜けなくて、私生活でも苦しんだことがありました」と語った。

竹野内は、同作が寺尾聰主演で2009年(平21)に映画化された際、長峰を追う警視庁捜査1課の刑事織部孝史を演じており、12年の時を経て立場を変えた役どころを演じる。映画版では織部を三浦貴大(35)が案じる。三浦は「竹野内さんが演じていらっしゃった役。非常に緊張はしまして。公開当時、映画版は拝見しまして…話を頂いた時、見返せなかった。芝居も引っ張られるし、緊張してしまう。うまく現場にいられない…だめですね」と苦笑い。竹野内は「私も織部役を演じた時、難しい役だと思った。今回、出来上がったのを拝見して、決して顔には出さないんですけど、心の揺れ動き、繊細な部分を三浦さんが体現していて、本当に素晴らしかった」と絶賛した。

竹野内はフジテレビ系で放送中の、5年ぶりの主演ドラマ「イチケイのカラス」(月曜午後9時)が、平均視聴率12%超と好調だ。劇中では、東京地方裁判所第3支部第1刑事部(通称イチケイ)の刑事裁判官ながら、扱う事件に疑問が湧けば職権を発動し、自らの足で現場検証を行い、事件の真相を明らかにする刑事裁判官・入間みちおを、コミカルに演じ、人気を呼んでいる。

竹野内はトークの中で、悩むことは? と聞かれると「悩んで悩んで、判決を下す裁判長の役などが多いので、悩むイメージがあると思う。若い時は悩んで、決断が遅れたこともあったんですけど、直感人間なので時間はかからないかなと思う。なるべく、悩まないように…悩んでないですよ。直感で結構、何でも決めていくので…最終的には」と笑みを浮かべた。

今作は「パラサイト 半地下の家族」で米アカデミー賞作品賞、監督賞などを受賞した韓国のポン・ジュノ監督の助監督を務めた経験を持ち、同監督が絶賛した19年の初長編監督作「岬の兄妹」で注目された、片山慎三監督が全6話を手掛ける。長峰に手を差し伸べるペンションを営む木島和佳子を演じる石田ゆり子(51)は、コロナ禍で撮影時期が20年春から夏に変更されたと明かし「春に撮るはず…コロナ禍で夏になった。5秒、閉めても汗が出るのを武器にした。みんな片山監督が好き。こういうチームにいて幸せ」と笑みを浮かべた。竹野内も「なかなかない。10年に1度の現場」とたたえた。