NEWS加藤シゲアキ(33)が昨年発表した小説「オルタネート」(新潮社)が、高校生が選考を行う「高校生直木賞」を受賞したことが30日、発表された。ジャニーズ事務所所属タレントの作品が同賞に輝くのは初めて。

また、伊吹有喜氏の「雲を紡ぐ」も同時に受賞した。同賞8回目にして、史上初の2作受賞となった。

同賞は、全国の高校生たちが集まって議論を戦わせ、直近1年間の直木賞の候補作から「今年の1作」を選ぶ試み。今年は全国から31校が出場し、30日にオンラインで選考会が行われた。

受賞について加藤はコメントを寄せ、「この度は高校生直木賞を授与していただき、誠にありがとうございます。受賞の知らせを聞いた時、不意に『荒野の果てに』が頭の中に響きました。『オルタネート』は、若い世代に読書を楽しみを知ってもらいたいと思って書いた作品です」と喜びをつづった。

加藤は「作家になってから時折、『加藤くんの本を読んでみたいけれど、小説は難しくて読めない』と言われることがあり、それを聞く度に彼らは幼い頃に楽しい小説に出会えなかったんだろうなと感じていました」とし、「ならば自分が、若い世代が純粋に楽しめる作品を書き、小説を好きになってもらおうと考え、このような高校生の群像劇を執筆するに至りました」と明かした。

さらに「自分の願いが叶い、実際に高校生の方々に届いたのであれば、これ以上に幸せなことはありません。世界には素晴らしい本がたくさんあります。読者の方々には、この本をきっかけに、人生最高の一冊と出会う旅に出発してほしいと思います」(原文まま)とつづった。

「オルタネート」は加藤にとって約3年ぶりの長編小説で、インターネットと現実の2つの社会に翻弄(ほんろう)されていく少年少女を描いた青春群像劇。第164回直木賞の候補に選出されたほか、「2021年本屋大賞」にノミネートされ、吉川英治文学新人賞にも輝いていた。