佐藤二朗(52)主演のNHK連続ドラマ「ひきこもり先生」(土曜午後9時)が今日10日、最終話を迎える。そのメッセージ性の強さから、毎話反響が大きく、佐藤のツイッターには「いつも泣いてみています」「最高のドラマです」「毎回…染みてます」などといったコメントが数多く寄せられている。

作品の企画と、第4~5話の演出を担当した石塚嘉監督がこのほど、日刊スポーツの取材に応じ、最終話にこめた思いを語った。

同作は佐藤演じる元ひきこもりの上嶋陽平が、とあるきっかけで、不登校生徒が集まる学級の非常勤講師に着任し、悪戦苦闘しながら周囲を巻き込み、“1歩踏み出す”人びとを描く物語。最終話では、校長の圧力に負けずに奮闘する陽平の姿や、コロナ禍で全国一斉休校要請が出る中で、どうやって卒業式の日を迎えるのか、揺れ動く学校と生徒たちの姿が描かれる。また陽平と娘・ゆい(吉田美佳子)の関係性にも変化が訪れる。

石塚監督は「最終話で陽平が動くことで周りも変わります。陽平を通じて大人と子ども、お互いが変わっていくところが見どころだと思います」と注目ポイントを明かした。

続けて「最終話ではひきこもりの人たち、こどもたちが本当に求めているものってなんなんだろうっていうことを探して、それが終わった後、さらに今の世の中に、一つ問いかけたいことっていうのもあります」。コロナ禍の世の中へのメッセージをも込めた。

ドラマでは教員サイドの苦悩もきっちり取材し、丁寧に描いた。「とにかく“生の声”を聞きたいと思い、地方の中学校の現役教師にリモートで話を聞いたこともありました。印象的だったのは、ベテランの方とか若い方とかみんなが、示し合わせたわけでもなく『私たちどうしたらいいんですかね。どうしたらいいかわからない』っておっしゃるんです。学校が全部間違っているわけでもないんだけど、なんでうまくいかないんだろうって」。

取材を重ねれば重ねるほど「大人も自信を持って子どもに接しているわけではない。学校だけじゃなくて家庭も。世の中全体がそうかもしれない」と問題意識を持つようになった。

非常に重厚感のある作品だが、「お勉強や説教のようなことをしたいわけではないんです」と言い切る。「ただどこかでこのこと(ひきこもりや不登校)をやっぱり何か、みんなで考えないといけない。10年20年30年後、こどもが大人になるし、今のままでいいのかっていうのは我々考えないといけないなと。このドラマを通じて、そういうことが伝えられたらいいな」と優しい声で語った。スタッフ・キャストの熱い思いがそのまま画面に乗り、視聴者の心を揺さぶっている。