V6がデビュー26周年となる1日、千葉・幕張メッセでのラストライブをもって解散します。岡田准一(40)三宅健(42)森田剛(42)井ノ原快彦(45)長野博(49)リーダー坂本昌行(50)の6人の活動の軌跡を、日々の取材および紙面連載「サタデージャニーズ」などを通じて触れてきた日刊スポーツ記者が振り返ります。

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年長組のトニセンと年少組のカミセンを合わせたユニークなグループで、年齢的にちょうど真ん中の井ノ原快彦(45)は、ずっとまとめ役を担ってきた。

1対1で初めてインタビューしたのは9年前。あいさつもそこそこに「通り道でおいしそうだったので買って来ました」と、リュックからまんじゅうを出して、勧めてきた。初対面の緊張をほぐそうという気遣い。考えてみれば、1人歩いて取材場所に来たことになるし、すっと街中に溶け込む親しみやすさも実感した。

NHK「あさイチ」を8年間切り盛りした「庶民感覚」や、「紅白歌合戦」(15年)の司会でみせた「まとめる力」の根っこにはそんな人柄がある。

そのイノッチに昨年10月のインタビューでは、V6が25年続いた秘訣(ひけつ)を聞いた。

「たまたまとしか言いようがないんです。僕がここまでたまたま大過なく生きて来たように」

そっけない答えに思えた。こちらは想像もしなかったが、すでにその頃メンバーで解散に向けての話し合いが始まっていた。前向きに語ればウソになる。公式発表を前に解散をにおわせるわけにもいかない。彼なりに精いっぱいの答えだった。

記者の信頼を裏切りたくない、ひいては記事を読むファンの気持ちを裏切るわけにはいかない。

このコメントの時、珍しく、一瞬砂をかんだような顔になったことを思い出す。今から思えば、誠実であるがゆえの表情だった。【相原斎】

◆井ノ原快彦(いのはら・よしひこ)1976年(昭51)5月17日、東京都生まれ。88年ジャニーズ事務所入り。95年V6としてCDデビュー。長野、坂本とともに20th Century(通称トニセン)。06年からテレビ朝日系「警視庁捜査一課9係」に出演し、後継番組「特捜9」では主演を務める。10~18年、NHK「あさイチ」司会。15年からテレビ東京系「出没!アド街ック天国」の2代目司会。同年、NHK紅白歌合戦で白組司会。妻で女優瀬戸朝香との間に2子。175センチ。血液型A。愛称イノッチ。