歯に衣(きぬ)着せぬ発言でバラエティー番組の人気者だった、六星占術創始者の占術家・細木数子(ほそき・かずこ)さんが8日に呼吸不全のため東京都内の自宅で亡くなっていたことを10日、所属事務所が発表した。83歳だった。通夜、告別式は近親者、関係者のみで行い、14日に東京・南青山の梅窓院でお別れの会を行う。喪主は娘かおりさん(42)

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かおりさんは10日にインスタグラムを更新。「悲しい出来事がありました。母・細木数子が呼吸不全で8日に満83歳で永眠しました。突然のことでした」と報告し、「いつかは訪れることだと分かっているけど、いざ直面すると想像以上に悲しいです。ばあば、お疲れさまでした。そしてありがとうございました」と感謝のことばをつづった。最期は家族に見守られながら旅立った。

細木さんは10代から都内で飲食店の経営を手掛け、4000年以上前に中国で生まれた統計学を元にした独自の「六星占術」を80年代前半に完成させた。生年月日を元にし、人は生まれながらに自分の星を持ち、運命を知ることができるとした85年の「運命を読む六星占術入門」はベストセラーとなり、一大ブームを巻き起こした。「大殺界」という言葉も流行した。

04年からはTBS系「ズバリ言うわよ!」、フジテレビ系「幸せって何だっけ~カズカズの宝話~」などのバラエティー番組にレギュラー出演。くりぃむしちゅー、ネプチューンなどの芸人に対する毒舌で人気を集めた。態度の悪い芸人やタレントに対しては「地獄に落ちるわよ!」と強烈なダメ出しをして大ブレーク。高視聴率をマークして“視聴率女王”とも呼ばれた。

また、細木さんの提案でお笑いコンビ、アニマル梯団のおさる(53)がモンキッキーに、コアラ(52)はハッピハッピー。に、お笑いコンビ、×-GUNは丁半コロコロに一時改名した(後に戻した)。

その後、08年3月いっぱいで「本業の占いの仕事に専念する」と宣言。テレビのレギュラー番組を降板して徐々に引退状態に。16年には妹の長女かおりさんと養子縁組して養女にし、占術家としての後継者に指名。悠々自適で孫と遊ぶなど元気に暮らしていたが、突然の訃報となった。

○…おさるが10日、ブログを更新し、細木さんへ感謝の言葉をつづった。04年にテレビ番組内で受けた細木の助言から「モンキッキー」へ一時改名した。改名後、最初の仕事がのちに妻となる山川恵里佳とのロケだったといい「終始改名の話で盛り上がり、ふたりはそのまま結婚… 結婚願望が無かったふたりが結婚したのは先生のおかげだと言っても過言ではないです」。ほかにも多くの助言を受けたことを紹介し「先生からいただいたお言葉を大事に、更に精進して参ります。ありがとうございました」と結んだ。

◆細木数子(ほそき・かずこ)1938年(昭13)4月4日、東京都生まれ。中国古代の「易学」などを研究し、「殺界」は良くないという運気の流れを元にした六星占術を編み出した占術家。TBS系「ずばり言うわよ!」、フジテレビ系「幸せって何だっけ~カズカズの宝話」などに出演し、タレントに改名を促したり、厳しい言葉を浴びせながらも視聴者の人気を得た。08年に「本業専念」を理由にテレビ出演を封印していたが、12年に1度、TBS系特番に出演した。

<細木さんアラカルト>

◆テレビ出演 00年代前半、人生相談を行う番組が高視聴率を連発して「視聴率の女王」と呼ばれた。TBS系「ズバリ言うわよ!」、フジテレビ系「幸せって何だっけ~カズカズの宝話~」などのレギュラー番組を持ち、ゲスト出演したウィル・スミスやオーランド・ブルームら海外の著名人を占ったこともあった。

◆名言 番組で芸能人から相談を受けた際に「あんた死ぬわよ」「このままだと地獄へ落ちるよ」などの、歯に衣着せぬ発言が人気を集めた。その影響は大きく、「ダメ出し」は04年の流行語大賞候補にも選ばれた。

◆改名 運気を変えるため、芸能人に改名を勧めることもあった。おさるは提案された「モンキッキー」への改名を決断。その後、おさるの相方、コアラも「ハッピハッピー。」に改名した。このほか、お笑いコンビ、次長課長は「ピンク&グリーン」への改名を勧められたが拒否した。04年公開の映画「ゴーストシャウト」は当初「ゴーストネゴシエイター」として公開予定だったが、助言を受けて改題した。