中村梅玉(75)尾上松緑(46)が12日、「二月大歌舞伎」(2月1~25日、東京・歌舞伎座)の第1部「元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿」の取材会を行った。

忠臣蔵外伝と言える物語で、後に将軍家宣となる徳川綱豊と、四十七士の1人富森助右衛門が、緊迫したせりふのやりとりを通して互いの真意を探り合う。

梅玉は今回で6回目の綱豊役。すがすがしく賢明な役どころで「演じていて気持ちのいい、本当にすてきな役。ワクワクしながらつとめたい」と話した。

4代目梅玉を襲名した92年、名古屋・御園座での襲名興行で初めて演じた役でもあることに触れ「梅玉を襲名して30年の節目に、大好きなお役をやらせていただけるだけで幸せです。もう1度、原点を振り返って勉強したい」と語った。

松緑は、助右衛門は初役となる。「すてきな役、かっこいい役だと思っていました。この年までつとめることがなく、一生縁がない役だと思っていたので、本当に青天のへきれきでうれしくありがたい。全身全霊でぶつかっていきたい」と意気込みを語った。一途にあだ討ちのことを考える助右衛門と松緑について、梅玉は「あらし(=松緑の本名)ちゃんの性格にこの役は合っていると思います。楽しみです」と言うと、松緑は「そう言ってくださるとありがたいと思いつつ、ハードルが上がります」と、気を引き締めていた。

この日取材会が行われたのは、物語の舞台で当時は浜御殿と呼ばれた浜離宮恩賜庭園を望めるメズム東京。梅玉は「綱豊が実際いたわけですから。後に将軍になって見下ろしてる感じがしました」と笑った。