タカラジェンヌを育成する宝塚音楽学校(兵庫県宝塚市)で、戦後初の入学式延期を経験した108期生38人が10日、宝塚バウホールで、卒業公演にあたる文化祭(11~13日、同所)の公開稽古を行った。当初は2月下旬予定も、新型コロナウイルスの影響で、宝塚歌劇団も上演を取りやめるなどしており、2週間遅れてやっと、上演が実現する。

文化祭は歌、日舞と洋舞、演劇など、予科、本科で2年間学んだ集大成を発表する場。この日も日本舞踊から幕開け、クラシック楽曲や宝塚歌劇メドレーなどを次々に披露した。

芝居はスウェーデン王国を舞台に、皇太子の近衛兵をめぐる群像劇「オーロラの歌声」に臨み、谷正純氏の演出を受けた。A、Bの2パターンでの上演予定で、この日、稽古で主人公の皇太子を演じた茨城県出身の川上凜オデイセさんは、りりしい軍服姿で好演した。

20年春に入学した108期生は、合格発表時から恒例の在校生による受験番号学内掲示を経験せず、合否確認は公式ホームページで行い、緊急事態宣言下で4月の入学式は延期。同校では戦後初めての延期で、6月になってやっと入学。休校対策で夏休みを一部授業に代えるなどし、2年のカリキュラムをこなした。

コロナとの闘いの日々でもあり、今なお定期検査を継続し、この日の文化祭では、予科生によるコーラスは取りやめられた。

この日の公開稽古を終えると、代表して岩永佳那子さんが「同級生一同、立派な舞台を務められるよう、精進して参ります」とあいさつ。

コロナ禍で入学した生徒としては、初の卒業生になる108期生。卒業式も当初予定の3月3日から14日へと延期され、講堂ではなく、初めて宝塚バウホールで行われる。卒業後は4月23日に宝塚大劇場で開幕する星組公演で初舞台を踏む予定。