27日に米ロサンゼルスで開催された第94回アカデミー賞授賞式で、俳優ウィル・スミス(53)から平手打ちを食らったコメディアンのクリス・ロック(57)が30日、騒動後初めて公の場に姿を見せ、事件について沈黙を破った。

米マサチューセッツ州ボストンで行われた自身のコメディー公演のステージに立ったロックは、満席の会場から大きな拍手と2度のスタンディングオベーションで迎えられたと米CNNが報じた。

そんな観客の反応にロックは涙をぬぐうようなしぐさも見せ、「ジョークを言いたいから座ってくれ。目が曇ったじゃないか」と話したという。その後、「この週末の前は、ショーのための台本を書いていた」とアカデミー賞授賞式についてほのめかし、「今はまだ起きたことを処理しているところ。それについてはいつか話します。シリアスで面白くなると思うけど、それは今夜ではありません」と続けた。

会場で取材したCNNの記者によると、最後までスミスの名前を出すことも、事件をネタにすることもなく、お得意のジョークで観客を楽しませていたという。授賞式の翌日にスミスはインスタグラムで声明を発表し、ロックに対しても謝罪したが、ロックは騒動後これまで公の場に姿を見せることもSNSを更新することもなく、沈黙を貫いていた。

「Ego Death」と題した世界ツアーのチケットは、ビンタ騒動直後から売り上げが倍増しており、値段も高騰していることが伝えられている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)