今年1月に直木賞を受賞した今村翔吾氏(37)が28日、東京・神田神保町の三省堂書店本店で「塞王の楯」(集英社)と「幸村を討て」(中央公論新社)の合同サイン会を行った。

直木賞受賞作「塞王の-」と受賞後第1作となる「幸村を-」刊行記念の珍しい合同イベント。会場には限定100人のファンが集まり、今村氏は1人1人、丁寧にサインをして手渡した。「歴史のある三省堂さんで、しかも出版社の枠を超えたサイン会が出来て、こんなにうれしいことはありません。感無量です」と笑顔を見せた。

同書店は5月8日をもって一時閉店、6月1日からは近くの仮店舗での営業を開始する。25年に再び本店ビルと同じ場所での営業開始を目指している。81年3月以来、41年間にわたって親しまれてきた店舗としてはこの日が文芸作品として“最後のサイン会”だった。

作家活動に加え、大阪・箕面市の「きのしたブックセンター」でオーナーも務める“二刀流”の今村氏は「三省堂さんの『いったん、しおりを挟みます』と書かれた垂れ幕のメッセージがすてきです。街の本屋さんは残さないといけません」と話していた。