子役の布施愛織(9)が、黒島結菜(25)ヒロインのNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」に出演し、上白石萌歌(22)演じる歌子の幼少期役で魅力を放っている。歴史ある朝ドラで連ドラデビューを飾った若き逸材は、昭和歌謡を愛する意外な一面も。撮影の思い出や、普段の姿を聞いた。

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のびやかな歌声に、朝からはっとした人も多いだろう。先月12日放送の第2回で、父親役の大森南朋(50)と三線を弾きながら沖縄民謡「椰子の実」を堂々と歌い上げた。ヒロイン比嘉暢子の妹で、歌が得意な4きょうだいの末っ子を演じる。運動が苦手な役どころだが、自身も「運動はクラスで最下位です。走るのが遅くて、運動会ではいつもビリです」と照れ笑いする。

ぴったりの役柄はオーディションで勝ち取った。あまり緊張しないタイプだが、合格を知ると大泣き。母親が用意していたお祝いのケーキにも手を付けられずに泣き続け、「お父さんには『顔に水付けてるんじゃないの?』って言われました」と苦笑する。初の連ドラ出演作となったが、和やかな雰囲気の現場を楽しんだ様子で「夢の時間でした」と振り返る。沖縄での撮影期間中は毎日浜辺に出掛けて三線を練習し、あまりの居心地のよさに「帰りたくなかったです」と残念がって笑わせた。

共演陣の優しいムードにも助けられたようだ。泣く演技に苦手意識を抱いていると、母親を演じた仲間由紀恵(42)からアドバイスを受け「泣けない時は泣かなくていい。その時自分がその気持ちだったなら、泣けなくて大丈夫って」。上白石との初対面では「わあ、歌子に会えた」と声を掛けられたという。その後、手紙も受け取り「ヘアメイクさんに跳び箱を跳べないって話をしていたら、『私も跳べません』って書いてありました(笑い)」とうれしそうに明かした。

芸能の仕事が大好きで、演技もモデルも歌も「全部楽しくて、選べないです」と心躍らせる。次の目標は「ヒロインの幼少期をやってみたい」と意気込む。いつかはヒロイン? との質問には、「はい!」と満面の笑みを浮かべた。【遠藤尚子】

 

◆布施愛織(ふせ・あいり)アラカルト◆

▼プロフィル 2012年(平24)10月15日、神奈川県生まれ。雑誌モデルとして3歳から芸能活動を開始。現在小学4年生。127センチ、血液型A

▼特技 歌を歌うこと。母親の影響で昭和歌謡が好きで、松田聖子の楽曲や、坂本九「上を向いて歩こう」、久保田早紀「異邦人」などを歌う

▼三線 撮影開始の半年前から特訓をスタート。ウクレレの経験者で、習得に苦労はなかった様子。現在も練習を続け、レパートリーは「涙そうそう」「夜桜お七」「雪だるまつくろう」などジャンルレスに拡大中。「マイ三線」の棹の部分は、好きな色のピンク

▼沖縄料理 そうめんを炒めた郷土料理「ソーミンチャンプルー」がお気に入り。「撮影中に初めて食べて、すごくおいしくって。お父ちゃん(大森)には『歌子、大盛りだね』って言われました(笑い)」

▼学校生活 得意科目は国語と理科。「3年生の時の理科で懐中電灯を組み立てるセットがあって。細かい作業が好きです」