世界的人気歌手のオリビア・ニュートン・ジョンさんが、8日に米カリフォルニア州で死去したことが9日、分かった。73歳だった。92年に乳がんと診断され、長く闘病していた。

夫で実業家のジョン・イースタリング氏が公式インスタグラムで文書を発表し、「オリビア・ニュートン・ジョンは、南カリフォルニアの彼女の牧場で、今朝、家族と友人に見守られながら、安らかに亡くなりました。30年以上、乳がんと闘い続けた彼女は、勝利と希望の象徴でした」と死去を伝えた。オリビアさんは92年に乳がん宣告を受けたが、繰り返し再発。18年に出演したオーストラリアのテレビ番組では、17年からステージ4の状態で、脊髄に転移していると診断されたことを明かしていた。

48年、英ケンブリッジ生まれ。58年に父親の大学赴任でオーストラリアに移住した。14歳で出場したコンテストをきっかけに歌手の道を歩み始め、71年「イフ・ノット・フォー・ユー」でデビュー。愛らしいルックスと爽やかな歌声が持ち味で、70~80年に「そよ風の誘惑」「愛の告白」「フィジカル」などがヒットし、世界的な人気者となった。これまでにグラミー賞を4度受賞している。

女優としても活動し、78年公開の映画「グリース」では、ジョン・トラボルタとの共演が大きな話題を集めた。同作ではゴールデン・グローブ賞主演女優賞にノミネートされた。80年にはミュージカル映画「ザナドゥ」にも出演した。

がんの啓発活動にも積極的で、がん患者をサポートするための基金を設立。09年には、乳がんの自己検診補助パッドのキャンペーンで来日したこともある。私生活では俳優マット・ラッタンジーと結婚し、95年に離婚。その後08年にイースタリングさんと再婚した。

○…オリビアさんはコンサートなどでたびたび日本を訪れた。2度目の来日公演が予定されていた78年には、日本のイルカ漁に反対。コンサート開催が半年後に延期されたこともあった。03年に25年ぶりとなる来日公演を実施。10年にベスト盤のプロモーションで来日した際には、歌手として配信デビューを控えた長女クロエと親子共演し「母として将来が楽しみ」などと語った。15年の来日ツアーでは東日本大震災の被災地・福島で追悼公演を開催。21年秋に外国人叙勲受章者として旭日小綬章を受章している。

○…オリビアさんの訃報をうけ、歌手杏里(60)がインスタグラムで追悼した。オリビアさんを歌った、自身のデビュー曲「オリビアを聴きながら」(78年)のジャケット写真を掲載し「私にとっての大切な宝物、光を失ってしまいました。あなたがいたから、この作品『オリビアを聴きながら』が生まれ、今の私があります」とコメント。同曲を作詞・作曲したシンガー・ソングライター尾崎亜美(65)もツイッターを更新。「改めて感謝の思いを捧げたいと思います。どうか安らかに」と追悼した。映画「グリース」で共演したトラボルタもインスタグラムで「最愛のオリビア、あなたは私たちの人生を、とても素晴らしいものにしてくれました」と悼んだ。