タレント小堺一機(66)が、24日に初日を迎える、俳優でお笑いコンビあさりどの川本成(48)が主宰する劇団「時速246億」の舞台「バック・トゥ・ザ・ホーム・ファイナル」(東京・新宿「シアターサンモール」)に出演する。

2016年(平28)に初演で再演、続編、そして配信で上演された人気シリーズのファイナル。師匠・萩本欽一(81)の欽ちゃんファミリーの弟弟子の川本のラブコールに応えた。このほど、小堺と川本が日刊スポーツの取材に応じた。【小谷野俊哉】  

    ◇    ◇    ◇

小堺は司会を務めたフジテレビ系「ライオンのごきげんよう」の放送作家でサイコロトークの発案者の鶴間政行氏(67)との会話を、よく思い出すという。

小堺「鶴間さんと話したことで、ムカデの話が好きなんです。ムカデがはってるのを、鳥が見てて『ムカデさん、すごいな。そんなに足があるのに絡まなくて』って言ったら、ムカデが『えっ』て言った途端に足が絡んだって。意識したらできなくなるんですよね。それで、鶴間さんがサイコロトークやり始めて、もう終わり近くなった時に『小堺さん、分かってますか。毎日テレビに出てるんですよ、小堺さん』って言われた時に、怖くなっちゃった。言わないでよ~、気にしないでいたのにと思って。それから『どうも~』っていった時に、改めてキリッとなりましたけどね。鶴間さんもね、やっぱり、大将(萩本)を大尊敬してますから、いろいろと僕が知らない大将からもらった言葉なんかも教わるんです」

テレビの笑いの世界は今、大きな転換期を迎えている。痛みを伴う笑い、いじめに見えるものはダメと規制が多くなっている。

小堺「それこそ大将が昔、言ったんですけど『笑いはタブーが多い時ほど面白いんだ』って。僕の自分の意見としては、いわゆる弱者と言われてる人が、今は強者になっている。被害者意識が強すぎるというかね。多分、今は過渡期なんだろうと思います。男子には『不細工で気持ち悪いからって向こうに行って』っ言っても、誰も何も言わないでOKだった。だけど女の子のアイドルに『ブス』って言ったらすごく怒られる。男子に対しては、女子は平気で言っていたんですよね」

上からの規制、自己規制でがんじがらめになりつつあるバラエティーの現場でも、工夫の仕方はあるという。

小堺「だから、ネタの作り方にあると思うんですよ。ダメだからやんないじゃなくて。フジテレビの『27時間テレビ』(92年)の中継で、農家の人にお仕事なんですかと聞いたら、本人が『百姓やってます』って。“百姓”て言っちゃいけないっていうのがあったけど、本人が言うのはいいから。それから、みんなでもって『最近は何が実ったんですか』。『○○○が出来ましてね』とかやりとりして、『それでお仕事なんです』って質問して『百姓ですけどね』って。本人に“百姓”をずっと言わせてたんですよね。でも、それは本人が答えてくれたんだからと。そういうところを探すのが笑いだと思うんですよね」

男女の性差別が問題になることが多いこの頃、小堺には気になることがあるという。

小堺「男女平等が、この頃すごいですよね。僕は1つだけ許せないことがある。(髪の毛が薄い)僕だから言えることだけど、女性はウィックで、なんで男がズラなんだと。女性だと『同窓会で若返ったって言われちゃいました』って。これ、男性だと『ズラだよね』って言われちゃう。これは平等じゃない、みんなが笑うんですけど。だから、規制が多い方が、実は面白いんだよっていうことです。20年ぐらい前にアメリカで“デブ”って言っちゃいけないということで『重力に反発されてる人』ってなっていた。それは、面倒くさい。“デブ”でいいじゃないかって、なったりしたんですよ」

(続く)

 

◆小堺一機(こさかい・かずき)1956年(昭31)1月3日、千葉県生まれ。77年、TBS系「ぎんざNOW!」の素人コメディアン道場で優勝。専大卒業後、勝アカデミーを経て、80年浅井企画。82年テレビ朝日系「欽ちゃんのどこまでやるの!」での関根勤とのコンビ「クロ子とグレ子」でブレーク。84年10月からフジテレビ系のトークバラエティー「ライオンのいただきます」の司会に抜てきされ、16年(平28)3月の「ライオンのごきげんよう」終了まで31年半務めた。現在、BSJapanext「アプリで生判定!地域創生プレゼンバトル」、J:COMチャンネル「ジモトに乾杯!居酒屋小堺クン」、JFN「おうちで~CINEMA~」など。バラエティー、ドラマ、舞台、ラジオなど幅広く活躍。165センチ。血液型A。

◆川本成(かわもと・なる)1974年(昭49)7月13日、鳥取県生まれ。91年(平3)4月、萩本欽一主宰「欽ちゃん劇団1期生」合格。94年に堀口文宏と「あさりど」結成。94年から3年間、9代目いいとも青年隊としてフジテレビ系「笑っていいとも」出演。07年から劇団「時速246」を主宰、10年に「時速246億」に改名。16年舞台「バック・トゥ・ザ・ホーム」主演。18年舞台「バック・トゥ・ザ・ホーム2018」「バック・トゥ・ザ・ホーム2」。20年配信で舞台「バック・トゥ・ザ・ホーム・ハーフ」。趣味は楽器いじり、古着収集、プロレス。168センチ、血液型O。