ザ・ドリフターズのメンバーとして人気を博した、タレントの仲本工事(なかもと・こうじ、本名・仲本興喜=なかもと・こうき)さんが19日夜、急性硬膜下血腫のため、横浜市内の病院で亡くなった。81歳だった。

仲本さんは同市内で車にはねられ、危険な状態が続いていた。遺体は20日に病院を離れ、葬儀所に安置されたとみられ、葬儀は家族葬として営まれる予定。一世を風靡(ふうび)したお笑い界のレジェンドの悲報に、多くのタレントが悼み芸能界に悲しみが広がった。

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仲本さんは中学、高校と体操部に所属。都立青山高校では都大会での入賞経験もあるが、学習院大には体操部がなく続けることはあきらめた。学業も優秀で、弁護士志望。その一方で中3からギターを始め、洋楽にも傾倒していった。大学時代に、ジャズ喫茶でアルバイトとしてロカビリー歌手をやり、ジェリー藤尾さんの前座歌手から、再編成されたドリフに引っ張られた。誘ったのは高木ブーだった。

ドリフでは、体操コントが定番となり(いかりや)長介さん人形を使っての“ガキ大将遊び”や“バカ兄弟”のほか、加藤茶と志村けんさんを中心とした健康牛乳のコントにも加わるなど、存在感を強めた。

TBS系「8時だョ! 全員集合」終了後は、コント番組はフジテレビ系「ドリフ大爆笑」だけに。そんな時に、森繁久弥さんにかわいがられ、俳優にも活路を見いだした。時代劇にも呼ばれテレビ朝日系「遠山の金さん」にレギュラー出演。ちょっとずるくて、少しぬけている同心役は作品に欠かせない存在だった。元来は音楽志向だったが、コント中心の時期は違和感を覚えつつも「忙しすぎて辞めようと思う暇もなかった」。後年の俳優業でも「自分がでるシーンが明るくなればいい。それが目標」と、お笑いの心を忘れなかった。

ドリフではサポート役であることが多く、仲本さんも「5番目の男」と自認していた。だが、俳優では名バイプレーヤーとして仕事は多く、最近まで舞台や映画、ドラマに出演。役者として、最後まで意欲を見せていた。

新しいことにも取り組み、人と接することが好きなことから、飲食店を開いたほか、SNSも活用。YouTubeチャンネルも始めたほか、ももいろクローバーZとは配信番組「もリフのじかん」を月に1回生配信。今月23日には高木ブー、加藤茶と集まる予定だったが、同日の放送は中止となることが発表された。