高橋伴明監督(73)の1988年(昭63)の映画「DOOR」のデジタルリマスター版が31日、東京・TOHOシネマズシャンテで上映された。都内で開催中の東京国際映画祭の、日本映画クラシックスの作品として上映で、主演で妻の高橋恵子(67)も登壇した。
高橋監督は「数カ月前に、ずっと行方不明だったフィルムが見つかったと連絡がきた。デジタルリマスターに耐えうると言うので、その方向でと…。試写を見て、この映画の2回目の誕生日に出会った思いがした」と感慨深げに語った。高橋恵子は劇中で、ドアチェーンの間から強引にパンフレットを入れようとした指を挟んでしまったセールスマン(原田大二郎)に、執拗(しつよう)に追われる主婦を演じた。昨今のストーカー事件、被害を先取りしたような作品だった。観客と一緒に客席で鑑賞した後に登壇すると「実際の撮影は35年前…私が32歳の時。皆さんと一緒に見ていて最後に泣いてしまって。(映画で描いた要素は)ホラーだけじゃないなと思って。泣くと思わなかったので、ビックリした。とにかく怖かった…ホラー映画、好きではないので。35年前の作品を見ていただけて、うれしい」と語った。
舞台あいさつ後、囲み取材に応じた高橋監督は「フィルムが発見されたことによって、30数年ぶりに上映されたわけだけれど、それで奇跡のようなことかも知れないけれど…監督と女優が同じ場所に立っている、登壇しているのは不思議なこと。奇跡に近いかも知れない」と感慨深げに語った。高橋恵子も「長生きできました」と、しみじみと語った。
高橋夫妻は82年に結婚し「DOOR」の撮影当時、子どもが2人いたという。同監督は「長生きだけどさ…途中でね、夫婦なんだから別れていたり、こんなところ一緒に出たくないわって、あるわけだから」と笑った。高橋恵子も「奇跡ですね」と続き、秘訣(ひけつ)を聞かれると「ひとえに忍耐じゃないですか…こちらも忍耐」と口にして夫の高橋監督を見た。
高橋監督は現在、20年冬に東京・幡ヶ谷のバス停で寝泊まりする、あるひとりのホームレスの女性が、突然襲われてしまう事件をモチーフにした新作映画「夜明けまでバス停で」が公開中だ。70代になっても創作意欲は燃え盛っており、高橋恵子は「それは、すごいなと思いますね。結局、好きなんだなと思います、映画が」と尊敬の念を口にした。同監督は「働き者なんです」と照れ笑いを浮かべた。
上映には「DOOR」を製作した幻の映画会社、ディレクターズ・カンパニーの長谷川和彦監督(76)も登壇。同監督は客席を見渡し「(映画の質、内容から言って)立ち見が出ても、おかしくないぞ。空席があるな…宣伝が悪いのか?」と問いかけた。その上で「0号(試写)は俺も見た。伴明、エロに行かないのか? エロに行かず、毅然(きぜん)としたのが良い…こんな名作だっけ?」などと言い、客席を笑わせた。
さらに、長谷川監督は熱が入り「ピンクで鍛え上げた力を、あそこまで持っていながら、関根改め高橋というすごい球を手に入れて、裸を見せない抑制は何だ!!」と、高橋監督に問いかけた。同監督が「抑制はない。ストーリーに寄せただけ」と答えると「あんなにデリケートに撮って…もうちょっとサービスしろ、というのが客だろ。きれいだよ」と高橋恵子に呼びかけた。
長谷川監督は、高橋恵子が「ありがとうございます。でも若かった」と答えると「エロ的に、もっといけという人はいるだろ?」と客席に挙手を促した。挙手した観客が少なく、高橋恵子が「2人くらい?」と言うと、長谷川監督は「俺がエロい客なのか?」と言い、また客席を笑わせた。



