全世界でのアルバム総売り上げが1億万枚を超える、米ロックバンドKISSが11月30日、東京ドームで3年ぶり通算13回目の1夜限りの来日ツアー公演を、3万人のファンを集めて行った。

ツアーからのリタイアを表明したKISSは、19年にファイナルツアー「END OF THE ROAD WORLD TOUR」を展開して、同年12月に来日公演が実現。その後、21年7月のニューヨーク公演を最後に、ライブ活動からリタイア予定だった。だが、その後の世界的な新型コロナウイルスの感染拡大で、最終公演は来年以降に持ち越し。ファイナルツアーの予定が一新されたことで、まさかの1夜限りの日本公演が実現した。

「You Wanted The Best!? You Gotta Best! The Hottest Band In The World, KISS!!」(最高を求めていたんだろう!? お前はそれを手に入れた! それは世界一熱いバンド、キッス!! )というおなじみの口上のあと、メンバー4人がリフトに乗って登場。ポール・スタンレー、ジーン・シモンズ、エリック・シンガー、トミー・セイヤーがそれぞれステージ上方から降り立った。70年代の大ヒット曲「デトロイト・ロック・シティ」「狂気の叫び」から始まり、アンコール3曲を含む全19曲、熱狂のパフォーマンスを2時間にわたって繰り広げた。

ボーカルのポール・スタンレーは、いつもの慣れた日本語で「コンバンワ、トーキョー」とあいさつ。さらに「日本に戻ってこられて、うれしいよ。東京では26回公演している。ミナサン、ハクシュ、ハクシュ。アリガトウコザイマス(日本語で)。今夜はたくさんいい曲を演奏するよ。(初来日公演の)1977年当時のことを思い出す。日本のみんなは盛り上がれることを知ってるよな。そっちのみんな、声出して! こっちのみんな、声出して! みんな、声を出して! 素晴らしいね。たくさん昔の曲をやるよ! 全部そろってるよ」とファンをあおった。

40周年記念の新装盤が発売されたアルバム「クリーチャーズ・オブ・ザ・ナイト(暗黒の神話)」からの「ウォー・マシーン」ではベースのジーン・シモンズが火を吹き、中盤のベース・ソロでは血を吹いた。

ポールはリフトに乗って観客の頭上を空中移動して、名曲「ラヴ・ガン」「ラヴィン・ユー・ベイビー」を熱唱した。アンコール最後の「ロックン・ロール・オール・ナイト」では最後にギターをたたき壊した。

この後、12月4日にメキシコで開催される「ヘル&ヘヴン・フェスティバル」に出演。年明けからファイナルツアーが再開され、来年6月から7月にはドイツ公演が発表されている。

KISSは73年1月にアメリカで結成されたロックバンド。白塗りの悪魔メークと奇抜な衣装、火を吹くパフォーマンスなどで大ブームを巻き起こした。