6月に腹膜がんにより73歳で亡くなった葛城ユキさんの「偲ぶ会」が12日、東京・北とぴあさくらホールで行われた。生前から交流のあった20人の歌手が追悼した。主催した夢グループの石田重廣社長(64)は「みんなとの共通点は1つ、酒。葛城さんには誰もついていけなかった」と明るく送り出した。

尾藤イサオ(79)は葛城さんとの思い出を振り返った。「地方に行きますと、朝食を食べない人も多いんですけど、葛城さんは朝、食事をする方だった。私は古希になるので、こき使ってくださいって。パワーをもらった」。黒沢年雄(78)はひと言「大ファンでした」。

式では葛城さんの名曲「ボヘミアン」の生前映像が流れた。亡くなる前日に姉が収録した葛城さんの肉声メッセージも流された。

「皆さま 葛城ユキです 日頃の皆さまの熱いご支援ご声援を頂き この前1年ぶりに少し歌える状態になりました でもまだまだ本来の私ではありません 私がプロになりプロのステージに立って 毎回口ぐせのように言ってきたことがあります 私は『このステージでピアノを杖がわりしてまでも 歌人生を全うしたい』と常日頃言って居りました。その日がもうそこにやって来てる様な気がします 私は悔いのない人生だったと思っていますがひとつだけ欲を言わせて頂ければ 高齢者代表としまして 皆さまの元気の源として 皆さまの役に立ちたいと思っていました それがもうすぐそこまで来ていましたが叶うことができません それだけが私の心に残る悔いです でも欲張りは言いません 本当に今まで私の歌を愛してくださった皆さまありがとうございました これからも皆さまはお元気で身体に気をつけて頑張って頂きたいと思います ありがとうございました さようなら」

かすれた声に葛城さんの未収録曲が乗せられ、最後のテロップには「2022・6・26 13:12 自宅ベッドにて録音」とあった。4分弱の肉声に、ロッカーとしての葛城さんの生き様が詰まっていた。万雷の拍手に包まれながら、最後は葛城さんの「心からイエスタディ」を出演者で歌い、締めくくった。