TBSのバラエティー「ここがヘンだよ日本人」で活躍、先月8日投票の母国・ベナン共和国の国会「国民議会」の選挙に立候補していたゾマホン・イドゥス・ルフィン氏(58)が、落選していたことが7日、明らかになった。

日刊スポーツの取材に応じて「独裁政権によって不正に票数が操作された。今後は日本に滞在して、国の外から祖国の正常化を目指して、次の2026年の選挙での当選を目指す」と話した。

ベナンでは16年からタロン大統領の強権政治が続いている。野党陣営から立候補したゾマホン氏は「1万3000票対8000票で圧勝したはずですが、独裁政権の与党が、不正な方法で票を水増しして操作した。全体でも7割を野党が得票したはずが、与党の圧力でひっくり返されてしまった。国民が反対のデモを行おうとしたんですが、軍隊を出動させようとする動きに押さえ込まれてしまった」。ゾマホン氏は裁判所に訴えたが、この日までに却下された。「裁判官も与党に任命されているので、与党の言いなりだった」と話した。

今後は次の26年の選挙で雪辱を期す。「前は立候補する事さえできなかったが、今回は1歩前進。祖国をよくするためには、諦めずに頑張っていかなくてはいけない。ベナンの中だけでの活動では限界があるので、今後は日本で文化人として活動しながら、国連などにもベナンの現状をワールドワイドに訴えていきたい」と話した。

日本でタレント文化人として活動していた07年には、同じオフィス北野に所属していた東国原英夫元宮崎県知事(65)の芸名をついで「2代目そのまんま東」を襲名したこともあった。東国原氏が昨年暮れの宮崎県知事選に16年ぶりに出馬して、惜敗したことを知ると「本当ですか。私の師匠ですから、いろいろ話してみたい」と再会を希望した。

ゾマホン氏は留学生として上智大大学院在学中の1998年(平10)にスカウトされて「ここが-」に出演。熱い語り口と派手なリアクションで人気者に。ビートたけし(75)の付き人も務め、たけし軍団の一員としても活躍した。

タレント活動のギャラや著書の印税、たけしや所ジョージ(67)の応援も受けて、ベナンに「たけし小学校」「所ジョージ小学校」など小学校を7校、無料の「たけし日本語学校」を開校。02年にはベナンの国民栄誉賞を授与され、12年から16年にかけて駐日ベナン共和国大使を務めていた。

10人兄弟の末っ子として1964年にベナンに生まれたゾマホン氏は、苦学してベナン唯一の国立大に合格。中国留学を経て、94年に来日。午前中は日本語学校に通い、午後はバイトをかけ持ちしていた。上智大大学院に進学して「日本とベナンの懸け橋になりたい」という夢を持ち始めた頃に、東京・高円寺のラーメン店で「テレビ番組に出てみないか」とスカウトされて「ここが-」に出演、芸能活動を始めた。

◆ゾマホン・イドゥス・ルフィン 1964年6月19日、ベナン生まれ。86年ベナン国立大入学。93年北京語言文化大卒。94年に来日して日本語学校へ。96年上智大大学院入学。98年、タレント活動開始。02年ベナン共和国国民栄誉賞。12~16年駐日ベナン大使。167センチ、70キロ。血液型O。

▼ベナンの政情 1960年フランスから独立。90年に民主化され、国名がベナン共和国に。16年に実業家のパトリス・タロン大統領(64)が就任。21年に選挙法改正を強行して再選。一院制の「国民会議」は定数83人、任期5年。政党名簿比例代表制で選出。