1993年(平5)にフジテレビ系で放送された「料理の鉄人」に出演し“中華の鉄人”として人気を呼んだ、四川飯店グループ取締役会長の陳建一さんが11日午後12時7分、間質性肺炎のため都内の病院で亡くなった。67歳だった。14日、同社が陳さんの長男で四川飯店三代目で代表取締役の、東健太郎氏名の文書を発表した。葬儀は近親者のみで執り行った。後日、お別れ会を開催予定だが、詳細は未定だという。

「四川飯店グループ会長であり、公益社団法人日本中国料理協会会長の陳建一(本名:東建一)は、病気療養中のところ、2023年3月11日(土)東京都内の病院にて間質性肺炎のため永眠いたしました。生前のご厚誼に深謝し、謹んでお知らせ申し上げます。なお、故人の遺志により葬儀は近親者のみで執り行われ、訃報のご連絡も葬儀後とさせていただきました。後日、お別れの会を開催させていただく予定です。遺族の意向により、ご供花・ご香典、ご弔問等は固くご辞退申し上げます」

陳さんは、日本に初めて四川料理を広め、四川料理の神様と呼ばれた故陳建民さんの長男として、1956年(昭31)1月5日に東京で生まれた。東京中華学校を経て、玉川学園高、大学に進み、卒業後は父建民さんが経営する赤坂四川飯店にて修業を開始。90年も父の後を継ぎ、赤坂四川飯店社長へ就任した。

その後、フジテレビ「料理の鉄人」に中華の鉄人として出演。番組スタート時から最終回まで出演した唯一の鉄人で最多出場回数を誇った。また「NHK きょうの料理」の講師として出演。他、テレビ及び雑誌、料理学校の講師など幅広く活躍。、お茶の間で人気を博した。15年から四川飯店グループ会長。四川料理の普及や後進の育成に努める一方、講演やイベント、テレビの料理番組などで活躍。また多くの著作を出版し、主著に「鉄人陳建一の中華料理」「陳建一の毎日のおかず」「本音で作る僕の料理」「鉄鍋の掟」「父の仕事を継ぐ自分の味をつくる」などがある。

 

◆陳建一(ちん・けんいち)1956年(昭31)東京都生まれ。玉川大学卒業後、父の経営する赤坂四川飯店で修業開始。90年、赤坂四川飯店社長就任。93年フジテレビ系「料理の鉄人」に出演。「NHK きょうの料理」に講師としても出演。2015年から四川飯店グループ会長。「鉄人陳建一の中華料理」など多くの著書がある。公益社団法人日本中国料理協会の会長も務める。

◆「料理の鉄人」 1つの食材で「鉄人」と「挑戦者」の料理人が腕を競う料理バラエティー。放送期間は1993年10月~99年9月。スペシャル版を含め295回放送された。初代鉄人は中華の陳建一、フレンチの石鍋裕、和食の道場六三郎。主宰・鹿賀丈史の独特の存在感、福井謙二アナの本格実況、多彩なゲストの試食と採点などショーアップされた演出で、最高視聴率は23・2%。