俳優本郷奏多(32)が、フジテレビのドラマ「クライムファミリー」(11日開始、火曜深夜0時35分、全4回)で主演を務める。このほど取材会を開催し、意気込みを語った。

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本郷演じる松田郷(まつだ・ごう)が、金をだまし取るために、ある一家に潜入するところからストーリーが始まる。だが、その一家は詐欺以上の悪事に手を染める犯罪一家だと判明。お互いの本当の顔を知らず“ウソの家族”を演じ続ける犯罪一家を、悪人である郷が、皮肉にも“正しい家族”へ再生していってしまうブラックコメディードラマが幕を開ける。

「詐欺師として、とある家族に近づくけど、そっちの家族の方がなんかヤバい秘密を持ってそうだみたいな。その1、2行の文を読んだだけで、すごい面白そうだなと思って。ワクワクして、なんか面白いドラマになるんじゃないかなと。第一印象ですごくやってみたいなと思うような企画だったので、すごい楽しみになりました」

物語のスピード感が売りだという。

「全4話なので、スピーディーに話が展開します。続きが気になる作品で、スピード感とエネルギー感があるような作品。全4話しかないからこそ、主人公・松田郷にすごいフォーカスされているので、ほとんど全シーン出ているような感じです。毎日朝から晩までギュッと短期集中で撮っていました」

本郷演じる郷は、経歴を詐称し、一流家庭教師として“犯罪一家”佐々木家に潜入する。

「一応詐欺師という設定というか、役柄ではあるんですけど。台本を読んだ印象だと、きっと根は悪い人ではなくて。心の奥底はちゃんと優しい気持ちを持っている人だと思いました。主人公ですし、嫌なやつに見えるのは多分もったいないし、見ている人にもちょっと不親切かなと。どこかちょっと抜けている部分もあって、なんか愛せるキャラクターにできたらいいなと思って、そんなところを意識しながらキャラクター作りをしました。見ている人が主人公嫌いにならないように、演じたつもりではあります」

その佐々木家が“くせ者”だった。

「基本振り回されるキャラだとは、すごい思ってて。やっぱり自分よりその家族の方が上手だからこそ話も成立するし、面白い部分だと思う。基本、家族と一緒にいるところは全てペースを握られて、振り回される感じで演じました」

佐々木家の大黒柱の父・歩を大倉孝二(48)、母・陽を真飛聖(46)、受験を控える高校生の長女・夢を吉田美月喜(20)、同じく受験を控える中学生の長男・勝を荒木飛羽(17)が演じる。

「その回、その回によって振り回され方がコロコロ変わるというか。すごく手玉に取られて転がされてるみたいなのも面白かったりしますし、子供たちも男の子と女の子がいるんで、それぞれのアプローチの仕方も違うし。家族それぞれと郷が1対1で向き合った時の、郷のキャラクターが割と変化するところが面白いポイントかなと思います」

撮影初日から、距離を縮めた。

「家族役の4人とは、ちゃんとご一緒するのは初めてだったんですけど。初日からすごく皆さん明るい方だったので、和気あいあいと現場もしていて、すごく雰囲気は良かったですね。あとはスタッフチームもすごく若くて。やる気があるというか、ガッツのある方が多かったので、何か一生懸命集中してものづくりをしようという雰囲気はすごくありました」

撮影を通じて、“家族”みんなと親交を深めた。

「家族みんなといたら楽しかったんですよ。真飛聖さんが途中から心を開いてきたのか、リラックスしてきて。子どもたちと一緒にわちゃわちゃずっと、モノマネをして遊んでいらっしゃいました」

中でも真飛のモノマネがツボだったようだ。

「すごい下手なんですよ(笑い)。子どもたちと3人で『ワーワー』ってすごい盛り上がっているのを、僕は同じ空間で聞いているだけなんですけど。真飛聖さんが『子どもたちが何かやった時は、本郷くんが話に入ってくるのに、私がやる時だけ目合わせてくれないのよね』ってずっと言ってました。もう本当に小学校みたいな感じですよ。プーさんとかドラえもんとかずっとやってたんで」

撮影での苦労話も明かした。

「話せる範囲だと、走ることが多くて。泥棒して逃げてたりとか、この時間までにどこどこに行かなきゃいけないみたいなのとかで、外を走るシーンが多くて。もうここ数年、一切運動とかをしてなかったもので、毎日朝走って、夜走ってっていうのが、みんなスタッフ含め、しんどそうでしたね。それしか印象に残ってないです(笑い)」

主演を演じきったからこそ、郷の役柄が染み渡っていた。

「郷は、実は孤独で生きてきたんですよ。親がいなくて。とにかく小さい頃から、家族の愛情を受けて育ってこなかったキャラクター。だからこそ、どこかすてきな家族に対して、ムカつくって思いもあるけど、憧れている部分もあって。最初は『家族なんて』ってバカにしてた郷が家族と一緒にいることで、『あれ、家族っていいかもって』って心がシフトしていく。成長していくというか。なんか心がきれいになっていくというか。そういう人間らしいところが郷のかわいいところ。芯は優しい子なんだろうなって思うポイントなので、そういうところが好きですかね」

ドラマの仕上がりに自信を見せた。言葉には力がこもっていた。

「すごく気軽に見ていただけるドラマだと思いますし、どんどん先が気になるような展開もたくさんあります。シンプルに楽しんで見ていただけたらうれしいなと思いますね。全話見終わったら、もしかしたら、自分の家族のことをちょっと考える瞬間が生まれるかもしれないですし。見終わった後に多少、すてきな気持ちが残るようにはなっているので。気軽に楽しみながら見て、そういった気持ちを少しでも抱いてもらえたらうれしいなと思っております。楽しみにしていてください」【高橋洋平】

○…本作は、同局が誇るドラマのヤングクリエーターたちが月替わりで担当する連続ドラマ枠「火曜ACTION!」で4回放送される。放送日時は4月11日深夜0時35分~1時5分、同18日深夜0時35分~1時5分、同25日深夜0時25~55分、5月2日深夜0時25~55分。関東ローカルでの放送で、各話放送終了後、TVer、FODなどで見逃し配信を実施。