5月の連休明けから、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが、季節性インフルエンザと同じ5類に移行された。

それでも、電車の中などはまだ、マスクを着ける乗客の方が多い。取材に出向く記者も、今のところは、取材先への遠慮もあり、マスクは外せない。

とはいえ、街の中のにぎわいはコロナ前に戻ったように感じる。芸能界でも、コンサートなどでの声援などが解禁された。

そんな解禁された取材現場に向かった。歌手坂本冬美(56)が今月9日、都内で、新曲「再会酒場」の発売イベントを行った。

新曲タイトルに合わせるように、イベントが開催された場所は、ライブステージが併設された居酒屋。選ばれたファン36人を迎えて開催された。

坂本は新曲のほか、カップリング曲「酒よ」や「祝い酒」を披露。ファンからは、大きな冬美コールが何度も飛ぶ。坂本はもちろん、ファンも満足そうだ。声援を飛ばすことでアドレナリンも上がるのかもしれない。それに呼応するかのように坂本もファンをいじる。

「みなさんいい声ですね。この方はね、デビュー当時から応援してくださっているですよ。都はるみさんが引退されてしまったから。あっ、マネジャーのお母さんも来ていただいて、三味線の先生なんですよ」などと、ファンとのやりとりも再開させた。

さすがにファンの中に入り込むことはできないが、ステージのへりに座り込み、ファンと同じ目線の高さで歌うシーンも見られた。

さらに、カラオケのワンポイントレッスンも。「再会できた喜びを祝して、気持ち良く歌っていただければ。のれんを思い切って開ける勢いで、歌いだしてくれればいいと思います」振り付け混じりで、何度も発声していた。

イベントを終えた坂本は「いやー うれしいですね。かけ声はもう本当に、3年前と全く変わらず。コロナ前とね、全く変わらずですね。歌い手の私でも、コロナ禍の際は、声を常に出していなきゃいけないと思って、壁に向かって自主練をしていたんですよ。ファンの皆さんも負けじと発声練習をしてくださったんですね。素晴らしいお声でかけ声かけてくださって。本当にうれしい。もう感無量ってこういうことなんでしょうね。かけ声をいただくと、本当にテンションも上がるんです」。

カップリング曲「酒よ」を作った歌手吉幾三からは、よく電話がくることも明かした。「2~3カ月に1回はきますね。真奈美(藤あや子)はだんながいるからいいけど、お前はひとりだからなって。ひどいですよね、決め付けられていますから。ただ、電話は、安否確認だってそれだけで、切れるんです。ありがたいですよね」。先日も、浅草のすし店に、藤とともに招かれたという。「仕事の話もしますね。3人で旅番組をやってみたいなと、妄想で話していました。どこそこに行って、俺がこう言うから、お前らはこうしろとか。もう1つの番組が出来上がってました。放送局のみなさん、もしよろしかったら、吉さんの事務所までご連絡ください」。

イベント後には、実際の居酒屋フロアに席を移して、ファンと実際に酒を酌み交わし、乾杯も行った。

最後に坂本は「この曲をヒットさせて全国を回ってコンサートをやりたいですね。以前は、疲れていた時など腰が重かった時もあるのですが、今は、コンサートの前は遠足に行く前日の小学生のようにうれしいです。全国で、行けてないところがたくさんありますので、全国を回れるようになりたいなって。それが一番の夢です」と語った。

坂本にとっては、プライベートを置いてでも、新曲のヒットの方が大切なようだ。

同曲は男歌ではあるものの、坂本が歌うと、やはり艶っぽい。プライベートについて聞かれると「今は、Snow Manの目黒蓮くんに夢中です。1回でいいから一緒に飲みたいですね。誠実さに加えて、昭和のにおい、おとこ気を感じます。こんなに思ったのは田原俊彦さん以来ですよ。俊ちゃんは一緒に食事をしたことがあるので、目黒くんと飲みたいですね」と笑いを誘った。

どこまでが本気なのかはわからないが、報道陣に少しでも話題を提供しようとする姿勢はさすが。昭和を知っているスターを垣間見た。【竹村章】