竹野内豊(52)が31日、東京・テアトル新宿で行われた、伊藤沙莉(29)の主演映画「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」(内田英治、片山慎三監督、6月30日公開)完成披露舞台あいさつで、忍者役を振られたことについて「僕自身、ビックリしました」と笑いながら振り返った。

竹野内は劇中で、伊藤演じる東京・新宿ゴールデン街にある小さなバー「カールモール」バーテンダー兼探偵の、石破マリコの彼氏で自称・伊賀麻績新陰服部流を継承した忍者MASAYA(まさや)を演じた。劇中では、手裏剣を投げるシーンもある。竹野内は「何と言っても、日本映画界で当代きっての個性派である内田監督と片山監督がタッグを組んで映画を作るだけで、どういうものを作るのかワクワクした」とオファーを来た当時を振り返った。ただ、役どころを知った時「僕の役…忍者役で。現代劇で、どうやるんだ? と」と疑問を禁じ得なかったと明かした。そして「撮っている時から仕上がりが想像できず、完成が楽しみだった。台本を読んで想像している以上のものが、多分出来ると、みんなワクワクしていた」と撮影を振り返った。

「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」は、自ら監督・脚本を務めた20年「ミッドナイトスワン」が日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した内田英治監督(52)が伊藤と長年、面白い企画、海外の映画祭に行くことが出来ると目指し、企画を立てた。そして、監督・脚本を手がけた19年「岬の兄妹」で日本映画監督協会新人賞、21年「さがす」で日本映画監督協会新人賞受賞の片山慎三監督(42)とタッグを組んだ。この両監督と、脚本家で、劇団山田ジャパン主宰の山田能龍氏(47)が話し合って物語を作った。

内田監督は、竹野内の忍者役について「能龍と3人、集まりながらワイワイやって…悪乗り」と笑いながら振り返った。片山監督は「多分、言いだしたのは僕…竹野内さんがいいと」と続いた。竹野内は「衣装合わせの時から、片山監督がゲラゲラ笑ってて」と笑った。そんな話を聞きながら、内田監督は片山監督が、21年に竹野内主演のWOWOW連続ドラマW「さまよう刃」の演出を担当していた縁があったこともあり「片山監督が、一緒に仕事していたので…やってくれるという」と竹野内へオファーした経緯を振り返った。そして「面白いこと、付き合ってやってくれるんで、調子に乗ってお願いしたら、プロなんで答えてくださる。調子に乗ってごめんなさい」と謝罪した。

伊藤は「現場でお会いして、MASAYAとして存在してくださった。マリコとして、いとおしかった。牛乳を一生懸命、飲んだり…頑張って。竹野内さん、これやるなぁと言うのが詰まってて、勝手に楽しんでいた」と竹野内との撮影を振り返った。

物語は、バー「カールモール」のカウンターに立つ女マリコ(伊藤沙莉)が、さまざまなワケあり常連客の相手をする一方「新宿探偵社」としての顔も持っており、ある日、FBIを名乗る3人組から「歌舞伎町に紛れ込んだ宇宙人を探してくれ」という依頼を受け、恋人の自称忍者MASAYA(竹野内)の協力のもと宇宙人に迫ってゆく、ブラックユーモアあれれる、過激で少しだけアダルトな異色の探偵エンタメ。第40回ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭で「ホワイト・レイヴン・アワード」受賞、第43回ポルト国際映画祭でも観客賞を受賞するなど、海外からも称賛の声が多く寄せられ、注目を集めている。

竹野内は、海外で作品が評価されていることを踏まえ「映画を見ることを、もっと文化として、国を挙げてやっていけば、もっと素晴らしいものが出来ると感じますね」と力説した。