歌手、ボードビリアン(軽演劇俳優)、声優として映画やドラマで活躍した柳澤愼一(やなぎさわ・しんいち、本名眞一)さんが昨年3月24日、都内の施設で骨髄異形成症候群で亡くなっていたことが28日、分かった。89歳だった。この日、日本歌手協会が発表。葬儀は近親者のみで執り行われたという。

柳澤さんは、1932年(昭7)東京都生まれ。青山学院大在学中の52年にジャズソング「チェンジング・パートナース(君慕うワルツ)」で歌手デビュー。ソフトな美声と甘いマスクで人気を集め、「イスタンブール・マンボ」「スワニー」など外国曲を日本に取り入れて、ヒットさせた。

また俳優としても「西銀座駅前」「東京バスガール」などに出演。エノケンこと榎本健一さんに見初められ、人気ボードビリアンとして名をはせた。

また声優としても「奥さまは魔女」のダーリン役の吹き替え、「ひょっこりひょうたん島」などにも出演した。

晩年まで福祉活動に力を入れ、「柳澤愼一とジャパンスイングオールスターズ」を組んで精力的にライブ活動も行った。また05年に映画「メゾン・ド・ヒミコ」、08年に映画「ザ・マジックアワー」などにも出演していたが、19年公開の主演映画「兄消える」が遺作となった。