作詞家なかにし礼さんが、2020年(令2)12月に82歳で死去してから約2年半。昭和を代表する才人の遺作がCD発売されることが8月1日、分かった。
作曲家浜圭介さん(77)がドラマチックなメロディーを付けた楽曲「人の世一夜の子守歌」で、人気大衆劇団「たつみ演劇BOX」でダブル座長を務める小泉たつみ(42)小泉ダイヤ(39)の兄弟が歌唱し、ユニット「小泉兄弟」として、同曲で9月27日に歌手デビューする。
「浜君、いい作品があがったよ」。浜さんによると、なかにしさんから連絡が来たのは8年前の15年。歌詞を読むと、出だしから「助けてくれと叫んだら 助けてくれと叫ばれた」とあった。「今の日本を象徴するよう。これはすごい作品が来たなと思った」と振り返る。すぐにメロディーを付けた。だが「これじゃない、違うっ」。なかにしさんの納得が得られない。曲を付け直す作業を何度も繰り返した。ついに2人とも「これだ!」と納得のいく作品ができあがった時、世の中はコロナ禍。エンタメ界の動きはピタリと止まり、作品の発売を待たずになかにしさんは天国に旅だってしまった。
「だからずっと、この作品を世に出したいと願っていたんです」と浜さん。思い入れの強い曲だけに歌い手にもこだわった。「なかにしさんの魂がこもった作品だから普通の歌手が歌う作品ではない。歌手とは違った表現力をもったアーティストに歌ってもらいたい」。適任者を探していたところ、音楽関係者から推薦されたのが、大衆演劇で爆発的な人気を誇る小泉たつみと小泉ダイヤの兄弟だった。さっそく1コーラスだけ歌ってもらったところ「これがドンピシャだった」。浜さんは2人の表現力に心を打たれたという。
なかにしさんの親族によると、なかにしさんは作品を自宅にストックせず、詞を書くとすぐに作曲家らに渡していた。だから現在、世に出ている中では今作が“最後の遺作”と言える。
小泉たつみは歌手デビューについて「突然いただきました貴重な経験で戸惑いもありましたが、せっかくいただきましたご縁です。なかなか経験できることではないので大変光栄です」とコメント。大阪の大衆演劇界では知られた存在だが、歌手としては新人だ。「大衆演劇のお客さまやそうでない方々にももちろんお聞きいただきたく思います。また私たちの大衆演劇を知っていただくきっかけにもなればうれしく思います」と意気込んでいる。「日本の歌謡曲の素晴らしさがたくさん詰め込まれた曲です。1人でも多くの方に届けられるように頑張ります」。
小泉ダイヤは「デビューできるなんて今まで考えたこともなく、このようなありがたい話が来た時、すごくワクワクしてうれしかったです」と歌手デビューの喜びを明かした。レコーディングについては「初めての経験で…、緊張緊張でしたが一流のスタッフの皆さまに支えていただき、楽しく終えることができました。最高にいい思い出、いい経験になってうれしかったです」。そして「1人でも多くの方にこの曲を聞いていただき、歌謡曲の良さ、また大衆演劇を知っていただけるように僕たちも頑張りますのでどうぞ応援よろしくお願いします」と呼びかけた。
◆たつみ演劇BOX 小泉兄弟の祖父・嵐九一郎が創設した「嵐劇団」が前身。2代目の小泉のぼるが「のぼる會」と改称。小泉たつみが3代目座長に就任後、現在の劇団名にした。モットーは「奇麗に品良く」。
◆小泉たつみ 1981年(昭56)5月27日、大阪府生まれ。2歳で初舞台を踏み、97年に16歳で座長に就任。座右の銘は「好きこそものの上手なれ」。177センチ、血液型O。
◆小泉ダイヤ 1984年(昭59)3月4日、大阪府生まれ。4歳で初舞台。12年に28歳で座長に就任。座右の銘は「我唯足知」。173センチ。血液型O。



