藤竜也(81)が7日、都内で行われた主演映画「高野豆腐店の春」(18日公開)完成披露上映会で3本目のタッグとなる三原光尋監督(59)から「85歳で、もう1つやりませんか?」と4本目の主演作のオファーを受けたと明かした。

「高野豆腐店の春」は、三原光尋監督(59)が脚本も手がけたオリジナル作品。物語の舞台は、尾道の風情ある下町の一角に店を構える高野豆腐店で、藤は愚直で職人気質な高野辰雄、明るく気立てのいい娘の春を、麻生久美子(45)が演じた。劇中では、春の再婚話が浮上したり、辰雄が偶然の出会いから、中村久美(62)演じる独り身の老婦人・中野ふみえに心ひかれてゆく、淡い恋模様も描かれる。

藤は、三原監督の05年「村の写真集」に主演し、第8回上海映画祭で最優秀男優賞を受賞し、同作も最優秀作品賞を受賞。08年にも、同監督の「しあわせのかおり」に出演しており、「高野豆腐店の春」も脚本にほれ込み出演を熱望。同監督と15年ぶり3度目のタッグを組んだ。08年「しあわせのかおり」で、中国出身の名料理人を演じるために中華料理店で5カ月半、修業。「高野豆腐店の春」でも、東京・麻布十番の豆腐店でトレーニングし、撮影に臨んでいる。

トークの中で、幸せだと思う瞬間は? と質問が出た。三原監督は「ウナギが大好きでして…1カ月に1回だけ、自分の人生を生きているご褒美で、ウナギをあちこちで食べるのが好き。うな重のフタを開けた時の5秒間くらいが、大好きすぎて」と、喜びをかみしめるように語った。そして「最初、こたつで考えた時は、お豆腐の映画じゃなく、ウナギの映画にしようと思ったくらい。また、いつか、ウナギは取り上げたい」と、ウナギの映画を作ることを誓った。

藤は「私は今月で、82歳になるんです。監督から、この間『藤さん、85歳くらいになったあたりで、もう1つやりませんか?』って…もう生きているかどうかも分からない。そんな話になりました」と笑いながら明かした。そして「ウナギの話になれば串の打ち方、割き方が難しそうですね。やりがいがありそうですね」と続けた。中華料理、豆腐と、料理にまつわる作品の旅に修業し、毎朝、みそ汁を作るのが日課の藤だけに、三原監督のウナギの映画の構想にも、役作りへの妥協のない姿勢、意欲を見せた。

この日は麻生久美子(45)中村久美(62)徳井優(63)山田雅人(62)桂やまと(48)も登壇。