竜星涼(30)が9日、東京・世田谷パブリックシアターで行われた主演舞台「ガラパコスパコス~進化してんのかしてないのか~」(10日初日、同所ほか)初日前会見で「僕自身、進化していけたら」と意気込みを示した。
「ガラパコスパコス~進化してんのかしてないのか~」は劇団「はえぎわ」主宰で俳優・脚本家・演出家のノゾエ征爾(48)が、世田谷区内の高齢者施設十数カ所をまわって生み出した、10年初演の代表作。「老い」と「進化」という一見、正反対のベクトルのふたつを重ねた先に描かれる、滑稽でいとおしい人たちの物語。
竜星は、社会にうまくなじめず派遣のピエロの仕事でギリギリ生活する太郎を演じる。「まずは、すばらしい劇場で真ん中に立たせていただけるのが、うれしい。どういう影響を与え、演出を受けた自分が進化し、新しい自分をどう見つけられるか。僕自身、進化していけたら。多くの方に見て、楽しんでいただけたら」と抱負を語った。
小道具を使わず、黒板を使う新たな演出にも、進化の可能性を見いだしている。竜星は「舞台上で描くのは、僕だけでなく(通常は)見られないもの。劇場に入って、やってみると、もう少し大きく濃く描かないといけないな、横長に描かないと…などと発見がある。描いて消すのか、汚すのかによって、お芝居の中で表現するのも、また新しい魅力。何もないところに、どんどん描かれていく舞台上にいるのも、すてきだなと今、思っています」と笑顔で語った。
太郎の兄晴郎を演じる藤井隆(51)は「竜星君が描かれる絵がすてき。字は見たことがあっても、絵はなかなかないと思う。チョークの絵を見ていただきたい」と絶賛。太郎が花束を渡すとついてきて共同生活を始める、特別養護老人ホーム(特養)から抜け出した徳盛まちこを演じた高橋惠子(68)も「すてき」と、たたえた。
竜星は、3月に30歳になったことを踏まえ「30歳になりましたけど、まず受け入れる。僕にとって進化したいなぁと。自分自身にはない役柄だったり、というのがあるので、稽古場から…今も悩み続けているのかも知れない。この公演が終わった時、人間としても役者としても進化できれば。今も悩んでいます」と率直な心境を語った。そして「汗とチョークまみれになった姿が美しい舞台になると思う。役と1分、1秒進化すると思う。進化の様子を見届けてもらえたら。もしかしたら退化する日は…ないでしょう。見届けてもらえたら」と力を込めた。