イスラエル政府が、パレスチナ人の父を持つ米人気女性モデルのジジ・ハディッド(28)がSNSに投稿した、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスによるイスラエルへのテロ攻撃に関する内容を巡って名指しで批判した。

パレスチナ解放運動を支援していることで知られるハディッドは先週、インスタグラムに投稿したインフォグラフィックで「パレスチナ支援が反ユダヤ主義やハマス支援だと誤解されている」と主張していた。これに対し、イスラエルの公式SNSアカウントは15日、「ジジ、ここ1週間、寝ていたの? それとも、ユダヤ人の赤ちゃんが自宅で切り殺されているのを見て見ぬふりをしていいと思っているの? あなたの沈黙は、あなたの立ち位置を明確に示している」とつづり、非難した。

イスラエル政府はさらに、「イスラエル政府のパレスチナ人の扱いにはユダヤ的なものは何もない。イスラエル政府を非難することは、反ユダヤ主義ではないし、パレスチナ人を支援することはハマスを支援することにはならない」とつづったハディッドの投稿から、一部の文字を書き換えたグラフィックも公開。「ハマスのイスラエル人虐殺には立派なものは何もない。ハマスをありのままに非難することは、反パレスチナではないし、野蛮なテロリストと戦うイスラエルを支援することは正しいことだ」と反論し、イスラエル側の言い分を主張した。

この投稿に先立ち、ハディッドは声明で「私の思いは、この不当な悲劇に影響を受けているすべての人々と、日々の紛争で奪われる罪のない命と共にあり、その多くは子どもたちです」「パレスチナ人であれ、イスラエル人であれ、罪のない民間人はその犠牲になるべきではない。暴力は何十年にも渡る痛ましい報復の連鎖を助長し、親パレスチナ=反ユダヤ主義という誤った考えを持続させることに寄与している」と述べ、ハマスのテロ攻撃を非難していた。

イスラエルのガザ封鎖と退避命令に反対の声を上げている著名人はハディッドだけではない。映画「サウンド・オブ・メンタル~聞こえるということ~」(2019年)でアカデミー賞主演男優賞にイスラム教徒として初めてノミネートされた英俳優でラッパーのリズ・アーメッド(40)も、X(旧ツイッター)で「(ガザ攻撃は)道徳的に弁護できない戦争犯罪」とイスラエルを非難し、ガザ地区の人々と重要なインフラに対する無差別空爆の停止を求めている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)