NHKは2日、都内の同局で、25年前期の連続テレビ小説「あんぱん」のヒロイン発表会見を行い、今田美桜(26)がヒロインを務めると発表した。3365人が参加したオーディションから決定した。

制作統括を務めるNHKの倉崎憲氏(36)は会見後に取材に応じ、ヒロイン決定のいきさつや作品への思いを語った。今田については「最終オーディションの演技で唯一涙が自然と出てきたのが今田さんでした。何でここにこのセリフやト書きがあるのかわかっていらっしゃって、芝居に出されている。心を動かされました。チーフ演出含め、満場一致で選ばさせていただきました」と振り返った。選考は書類審査に始まり、ビデオ審査、グループ審査、最終審査が行われたという。

今作は「アンパンマン」の生みの親、漫画家やなせたかしさんと小松暢さん夫妻の半生がモデルとなる。戦前、戦中、戦後の時代を生き抜き、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」を生み出すまでの愛と勇気の物語を描く。今田はヒロインとして、やなせさんの妻にあたる朝田のぶ役を演じる。

倉崎氏は題材選定について「アンパンマンのマーチ」の歌詞の深さに気づいたことがきっかけだと明かし「やなせさんの人生に興味が沸きまして、本を30冊くらい読みあさって、アンパンマンはやなせさんが70歳を越えてから広がっていった作品だと知りました。いろんな経験が最後にアンパンマンに結びついたと知り、さらにそこには奥さまの持ち前の行動力や突破力が常にあったと知って、夫婦の物語を描きたいと思っていました。そこで(脚本を務める)中園さんとやなせさんが昔、文通をしていたと聞いて。鳥肌が立ちまして、これはやらなければいけないと思いました」と経緯を明かした。

夫を支える妻を取り上げる朝ドラと言えば、近年では2010年放送の「ゲゲゲの鬼太郎」の作者で漫画家の水木しげるの妻の著書を原案とした「ゲゲゲの女房」も記憶に新しい。倉崎氏は違いを問われ「キャラクター像もそれぞれ違いますし、暢さんは史実がほとんどない分、やなせ先生の書籍からこういうキャラクターだったんじゃないかなと、ディテールや取材を積み重ねて彼女ならではの持ち味を一緒につくっていけたらなと思っています」と語った。

ドラマのクランクインは今年9月ごろを予定している。倉崎氏は夫妻の幼少期から始めることを明言しつつ「奥さんの人生と、アンパンマンが生まれるまでの過程までは少なくとも描きたい。子役から本役になり、最後まで本役でいきたいと思っています」と語った。

やなせさんと暢さんは共に高知新聞社の社員として勤務し、のちに上京した。高知での撮影も多く取り入れていくといい、倉崎氏は高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルに2023年前期に放送した「らんまん」とも比較し「『らんまん』以上に高知で撮影したいと思っています。まだこれからですが、高知の美しい風景、原風景、カルチャーも多く伝えてけたらなと思います」と意気込んだ。

連続テレビ小説は1961年4月から始まり、「あんぱん」で112作目。現在は2023年後期の作品「ブギウギ」が放送中で、女優の趣里(33)がヒロインを務めている。2024年前期は伊藤沙莉(29)がヒロインの「虎に翼」、同後期は橋本環奈(24)ヒロインの「おむすび」が放送されることが決まっている。