俳優佐藤隆太(45)が、22~27日に東京・EXシアター六本木で上演される、阪神・淡路大震災をテーマにした舞台「明日を落としても」に主演する。11~16日の神戸公演に続いて25歳と55歳を演じる。現在45歳の佐藤に聞いてみた。【小谷野俊哉】

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佐藤演じる神戸の創業80年の老舗旅館の社長・桐野雄介は現在55歳。1995年(平7)1月17日の震災で心の傷を抱え、人生に向き合って生きてきた。そして今、人生に悩む若者にかつての自分を重ねて向き合って行く。

日大芸術学部映画学科演技コース卒。中学時代に俳優に憧れを持った。

「中学になった頃ぐらいから、映画を数多く見るようになりました、小学校の頃から、テレビだったりとうエンターテインメントの世界にすごく興味があったんですけど、きっかけはまず映画だったんですね。いろんな作品を見ました。大作も、単館の映画も見ました。ちょっと照れくさいですけど、2時間前後の時間でいろんな場所に旅させてくれる。その幅の広さみたいなところにすごく魅力を感じました」

映画好きから、演じ手への興味が広がった。

「その夢みたいな思いを描いたのが、中学生の頃だった。僕が見ている世界の向こう側には、音声を拾っていたりとか、照明を作ったりとか、演出をしていたりとか、キャメラを回していたりとか目に見えない部分がある。そのところは想像ができなかったから、シンプルにこの世界に入るんだったら役者になるしかないんだって。だからそこから俳優になるみたいに、勝手に自分で決めました」

小中高と野球部。高校は春の甲子園で優勝経験もある日大桜丘。

「僕が入った時は甲子園の優勝は、もう随分前の話でした。野球は好きだったんですけど、そんなにうまくもなかった。でも野球が好きだったから、高校までは野球をやろうと。甲子園大会に出場できるのは高校だから、今しかできないことをちゃんとやる。高校野球が終わってから、役者になるんだって決めていました」

1999年(平11)、大学2年の時に舞台デビュー。順調すぎる俳優人生のスタートだった。

「俳優になるまでは、めちゃくちゃ順調でした。苦労したとかは、絶対に言えないですね。人生で初めて受けたオーディションで合格させていただいて、宮本亞門さんのパルコ劇場の『BOYS TIME』っていう芝居でデビューしているんです。その直後に連ドラの『池袋ウエストゲートパーク』に出させてもらったので、たぶん一番順調なんじゃないですかね。デビュー作の舞台が2月の下旬までやってたんですよ。その次の初連ドラの『池袋ー』が4月クールですからね。ありえないですよ、ただの大学生ですよ。ただの大学生が一般のオーディションを受けた舞台から、トントンと呼んでもらえるなんてありえないので。だからうそでも、苦労しましたとは言えないですね」

順調すぎる俳優人生。だからこそ感じる思いもあった。

「すごく恵まれてた分、それをずっと感じていました。すごくありがたいことなんですけど、求めていただく責任を果たさなきゃいけないところまで、自分の技量が足りてないなみたいなのが、ずっとコンプレックスじゃないですけどありましたね。ありがたいんだけど、楽しいと思う一方で、反面でそういう苦労がありました」

5年後には50歳になる。

「そういう年になるんですけど、自分がどういう風に見えるのか、昔から本当に分からないです。全く想像できないですよね、しなきゃいけないんでしょうけどね。さすがに計画性というかね、持たなきゃいけないんだけど、なるようになると思ってね。それじゃダメだなと思いながら、そういう自分でありたいみたいなのもあるんですよね。ちょっと幼い感覚なんですけど、何かこう計画するんじゃなくてなるようになるという。どんないう風になるのかが楽しみというか、あんまり想像しないようにしてるって言ったら変ですけどね。まあね、思ってもそのようになるわけでもないし」

(続く)

◆佐藤隆太(さとう・りゅうた)1980年(昭55)2月27日、東京都生まれ。日大芸術学部映画学科在学中の99年(平11)に舞台「BOYS TIME」で俳優デビュー。00年TBS系「池袋ウエストゲートパーク」。02年TBS系「木更津キャッツアイ」。05年「絶対恐怖Boothブース」で映画初主演。07年「日芸賞」。08年TBS系「ROOKIES」で連続ドラマ初主演。09年「ビロクシー・ブルース」で舞台初主演。10年フジテレビ系「まっすぐな男」。179センチ。A型。