<連載「気になリスト」(3)>

 ピアノ王子がクラシック界に新風を吹き込んでいる。牛田智大(ともはる=13)。クラシック日本人ピアニストとして最年少CDデビューを果たしたのが3月。コンサート以外でも、目覚ましい活躍を続ける。

 7月クールのフジテレビ系昼の連続ドラマ「ぼくの夏休み」のメーンテーマ曲を担当。先月は皇太子さまの前で、自作の曲を披露した。オンワード樫山の紳士服ブランド「J.プレス」と衣装提供契約を結んだ。「デビュー前から変わったことはあまりないです」。マイペースを崩さない。

 誰もが、その美しい日本語に驚く。幼少期は父親の仕事で上海に在住。その間、NHKのニュースで日本語を覚えた。趣味は読書で、好きな作家は重松清氏。父親が電車通勤中に読むからと、小学3年生のころから日本経済新聞を愛読している。「『私の履歴書』など、ボクでも読めるようなおもしろいコラムがいっぱい載っています」。

 ピアノ漬けの生活を送る。練習時間は多い時だと6~8時間。テレビをあまり見ないため、芸能人を知らない。取材やテレビ出演などを通して、未知の世界を知るようになった。「AKBさんは多少分かるようになりました。中にいる人までは分かりませんが。SMAPさんも初めて知りました。中居さんとテレビでご一緒させていただきましたが、すごくノリが良くて、楽しい方だなって」。

 現在、中学1年生。外見も中身も完璧にしか思えないが、弱点もあった。「体育は苦手。体育では落ちこぼれです。運動会は陰に隠れて目立たないようにしています」。意外だが、音楽でも歌やリコーダーは苦手という。「音が外れているのは分かるのですが、直せないんです。合唱で少しだけ口パクをしたら、母にはバレてしまいました」と明かしてくれた。

 今後やりたいことを聞くと「今後はレパートリーを増やしていきたいです」とピアノのことしか口にしない。ピアノ王子は脇目も振らず、ピアノ一筋で生きている。【近藤由美子】

 ◆牛田智大(うしだ・ともはる)1999年(平11)10月16日、東京生まれ。6歳まで父親の仕事で上海で過ごす。2歳でピアノを始める。好きな音楽家はシューベルト。好きなピアニストはラン・ランとユンディ・リ。3月に初アルバム「愛の夢~牛田智大デビュー」を発売。中村紘子氏も才能を高く評価する。来年1月23日に、東京オペラシティコンサートホールで公演を行う。好きな教科は歴史。血液型AB。(11月5日付・紙面から)