ポール・マッカートニー(71)が体調不良のため、17日に東京・国立競技場で予定していた「アウト・ゼアー

 ジャパン・ツアー2014」(日刊スポーツ新聞社ほか主催)を中止し、19日に延期した。前日16日に体調不良を訴え、回復に努めたが、開演2時間半前にドクターストップがかかった。

 5月上旬までコスタリカなど南米ツアー後、1度ロンドンの自宅に戻ったポールは15日夜、羽田空港に到着。体調を崩したのは16日夜だった。医師はウイルス性炎症と診断し、その夜行われたリハーサルへの参加を見送った。詳しい病状は明かされていないが、都内のホテルで静養し、体調回復を目指した。それでも午後3時の段階で医師がもう1日の静養を決めた。

 昨年5月のブラジル公演から始まった同ツアーでは各地で2時間半に及ぶステージを披露。体調不良による中止、延期はなかった。昨年11月の日本公演では、ほとんどステージ裏に下がらず、水すら口にせずに39曲を歌いきった。71歳を迎えても衰えぬ鉄人ぶりを支えるのは、ベジタリアンでアルコールもほとんど口にしないなど、徹底した自己管理にあった。それだけに、今回のアクシデントはショックだった。延期が決まると、すぐに病床から日刊スポーツ新聞社など主催者を通じて「このようになってしまったことを、ファンのみなさまに大変申し訳なく思います。現在は医師の指示のもと、明日の公演と残りの日本ツアーが予定通り行われるように全力を尽くしています」とファンに謝罪のメッセージを送った。

 国立競技場はサッカーやラグビーなどの試合環境を守るために、コンサートなど芝生上に重い機材を置くイベントを年数回に厳選。極力芝生に負担をかけないように、荒天などで延期したのは1例しかない。ただし、同競技場は今月末で改修工事の準備に入るため、特別に19日への延期が認められた。同競技場事業課の古泉修課長は「改修前最後のイベントの1つだけに、特例としてできるだけ多くの方に楽しんでもらいたい」と話した。実現すれば、同競技場にとって史上最年長で最後の単独アーティスト公演。レジェンドは競技場関係者の思いに応えるためにも、療養に努めた。