9日に肺炎で死去した東映の岡田茂名誉会長(享年87)の葬儀・告別式が11日、東京・青山葬儀所でしめやかに営まれた。里見浩太朗ら2100人が参列。岡田氏に別れを告げた。

 東宝の松岡功名誉会長らに続き、女優佐久間良子(72)が弔辞を読んだ。佐久間は、57年に東映ニューフェースとして入社。「男性路線の中で、(佐久間主演の)『五番町夕霧楼』は社運をかけた映画でした。あふれるばかりの観客を見て、『本当に良かったな』とうっすらと涙を浮かべ、握ってくださった温かい手のぬくもりを忘れることができません」。震える声で岡田氏の人柄をしのんだ。

 棺(ひつぎ)にはさまざまな品が納められた。愛用のスーツとネクタイ、初プロデュース作「きけ、わだつみの声」などのDVD表紙、好物だった東京・銀座「みかわや」のオムライスと「奈可田」のすしの写真、亡き俳優の写真、同社の新作アニメ映画「ブッダ」公開記念展覧会のポストカード、前日の通夜を報じた11日付のスポーツ紙全紙…。

 会場では、出棺まで「仁義なき戦い」「網走番外地」のテーマ曲などが繰り返し流れ、最後のお別れとして、社員が順次、岡田氏の棺の前で記念写真を撮った。「寂しいことが嫌いな男。明るく送りたい」。長男で葬儀委員長を務めた岡田裕介東映社長による最後の親孝行だった。