人気子役の芦田愛菜(9)が、映画単独初主演を飾ることが25日、分かった。「世界の中心で、愛をさけぶ」などの行定勲監督(44)が手掛ける映画「円卓」(14年公開予定)でこの日、大阪府内の撮影現場を公開。今年に入ってメディア露出が少なかった愛菜ちゃんだが、どぎつい関西弁でほえるキャラクターを元気に演じた。

 今年の上半期、すっかりお茶の間から姿を消していた愛菜ちゃんは、ひそかに初主演映画という大きい仕事に取り組んでいた。

 「うるさい!

 ボケェ!!」「このガキ~、何しくさっとんねん!!」

 撮影現場に入ると、これまでの愛菜ちゃんからは想像もつかないドギツイ関西弁で、怒鳴り散らしていた。大阪の団地に住む温かい大家族の娘役。今年は、テレビの露出はスバルのCMぐらいで、ドラマもバラエティーも出演を控えていたが、愛菜ちゃんは元気いっぱいのままだった。

 2010年(平22)に日本テレビ系連続ドラマ「Mother」で注目を浴びると、11年は鈴木福と歌った「マル・マル・モリ・モリ!」でCDデビュー。大ヒットさせ、NHK紅白歌合戦に史上最年少の7歳193日で初出場。昨年も松山ケンイチと親子を演じた映画「うさぎドロップ」やフジテレビ系連続ドラマ「ビューティフルレイン」主演など、丸3年をフル活動した。テレビで見かけない日はないほどだった。

 しかし、今年は露出を制限し、出演作を慎重に選んでいた。その上で、米国のSF怪獣映画「パシフィック・リム」(8月9日に日本公開)でハリウッド初進出。撮了後、今作の主演に取り掛かっていた。

 製作指揮する行定監督は、「世界の-」で長沢まさみ、「クローズド・ノート」で竹内結子と沢尻エリカ、「北の零年」で吉永小百合と大物女優を演出してきたが、愛菜ちゃんの演技力には舌を巻いた。「芦田愛菜ありきの映画化で、彼女が子供のうちにしか撮れない映画。ダークヒロインを、我々の想像を凌駕(りょうが)して演じている」。

 当の愛菜ちゃんは久しぶりに取材陣を前にしても、変わらぬ屈託のない笑顔で「5歳まで関西だったので久々の関西弁で、毎日楽しく演技しています。この夏は、こっこちゃんに成りきります」と言った。小さな大物女優は健在だ。【瀬津真也】

 ◆「円卓」

 原作は作家の西加奈子氏の小説。平凡だが、愛ある大家族の娘琴子(こっこ=芦田)は、幸せな日常、普通に不満を持つ。口が悪くニヒルで、ノートに憧れの未知の言葉を書きためるのが趣味。ものもらいで眼帯をする級友や、不整脈で倒れる男子をかっこいいと思い、何より孤独に憧れている。ただ、小3の夏休みに半径数キロの「彼女の全世界」で起こるさまざまな出来事で考え、悩み、成長していく。