将棋の最年少プロ棋士、藤井聡太四段(14)がまた、無傷の連勝記録を更新した。10日午前、東京・将棋会館で指された叡王戦予選で梶浦宏孝四段(21)を破り、公式戦の連勝記録で丸山忠久九段(46)と並ぶ歴代2位の24連勝。同日夜の都成竜馬四段(27)との対局にも勝利し、単独2位となる25連勝を達成した。

 都成四段とは、7日の上州YAMADAチャレンジ杯で破って中2日での再戦。中盤から攻め込む藤井四段に対し、都成四段が意地の粘りを見せたが、最後は藤井四段が寄せきった。

 同じ段位でも年上の2人を連破した藤井四段。将棋を始めた幼稚園のときから年上の「秀才」たちを破ってきた。5歳の冬から通った「ふみもと子供将棋教室」(愛知県瀬戸市)には学業成績も秀才の先輩たちも通っていた。幼稚園年長だったある日、小学6年生と対局し、相手に1度も王手をかけさせず完勝した。文本力雄塾長(62)は「幼稚園児でしたが、聡太の見切りは素晴らしかった。秀才の上をいく天才。そういう素質を持って生まれてきた子なんだと思った」。

 歴代連勝記録で単独2位となる25連勝の達成について、藤井四段は「本当に幸運なことだと思います」。あと3勝で神谷広志八段(56)が1987年に記録した最多記録「28連勝」に並ぶ。自信を問われた藤井四段だが、「まだまだ遠いので。1局1局指していきたい」と油断はなかった。【清水優】

 ◆叡王戦(えいおうせん) 2015年に公式棋戦としてスタート、今期からタイトル戦に格上げされた。タイトル戦の新設は34年ぶり。将棋界の7大タイトルが8大タイトルに。6月から予選が始まり、女流棋士1人、アマチュア1人も出場する。予選を勝ち抜いた15人と佐藤天彦名人(叡王)で本戦を戦う。決勝に進出した2人が来春、七番勝負を戦う。主催は日本将棋連盟と「ニコニコ生放送」を運営するドワンゴ。