「排除の論理」に、「怒り新党」で対抗だ! 民進党の枝野幸男代表代行(53)は2日、都内で会見し、新党「立憲民主党」を設立すると発表した。「希望の党」の小池百合子代表による民進リベラル系議員の「排除」を受けた対応で、「『希望』とは政策の方向性が違う」と主張。「『枝野立て』と言われた。ピンチをチャンスに変えたい」。前原誠司代表が唱えた「民進&希望合流」は結局、民進党分裂を誘発した。衆院選は、自公VS希望&民進VSリベラル系という三つどもえの戦いに突入する。
テーブルにマイクのみがセットされた、シンプルな会見場。衆院選公示まで1週間。混乱の新党結党に踏み切らざるを得なかった枝野氏に高揚感はなく、苦悩の表情で言葉をつないだ。
「前原代表からは(両院議員総会で)わが党の政策を新しい器(希望)の中で生かしていくと説明を受けた。それならと(合流を)判断した」。しかし実際は希望者全員合流ではなく、枝野氏らリベラル系を、小池氏は「排除します」と明言し、民進党議員の仕分けを進めた。足場がなくなり、無所属での出馬を模索する議員が続出している。
枝野氏は「希望とは方向性が違うと判断せざるを得ない」と指摘。「『枝野が立て』という言葉や、選択肢をつくれという激励を多くいただいた。これまでの積み重ねをさらに磨き、国民の声を受け止めるため結党を決意した」と述べた。
前原氏には会見前、電話で新党結党を伝達。離党届も提出した。1カ月前の代表選で敗れた相手が、旧知の小池氏と進めた合流話に、党が翻弄(ほんろう)された。会見では、前原氏の「裏切り」や「意図的なだまし討ち」を指摘する質問が相次いだが、枝野氏は「これまでのプロセスは残念」「事実関係が分からない」と多くは語らず、「ピンチはチャンス。前向きに受け止めている」と述べた。
党名の由来は「立憲主義、民主主義、自由な社会を守るため」。人数は明言しなかったが、菅直人元首相や長妻昭氏らベテランが参加し、50人規模との見通しもある。3日には政党設立届を提出。枝野氏は、無所属出馬を検討する同僚にも参加を呼び掛けたほか、希望からの「移籍」も「排除しない」と明言。排除の論理を振りかざす小池氏と、対照的な姿を強調した。
選挙資金はめどがついたとし、民進党の支援組織、連合の支援も「ご賛同いただける」と自信を示した。
東日本大震災当時、官房長官として不眠不休で対応し、インターネット上で「枝野寝ろ」と言われた。今回は「枝野立て」の言葉が増えていると指摘されると、「ありがたい」と表情を崩した。全選挙区への候補擁立に意欲をみせたが、希望側は「刺客」をぶつけてくるとの見方が強く、選挙後の勢力は見通せない。
民進党は<1>希望<2>立憲民主<3>無所属に3分裂して衆院選を戦う。永田町では、「民進党の解体」が小池氏の真の目的ではなかったのかと、いぶかる声も出ている。【中山知子】
◆枝野幸男(えだの・ゆきお)1964年(昭39)5月31日、宇都宮市生まれ。東北大卒。弁護士を経て93年、日本新党の公募で旧埼玉5区から初当選。当選8回。鳩山内閣で事業仕分けチームを統括。菅内閣で官房長官、野田内閣で経産相。家族は妻と2男。