麻生太郎財務相は12日、財務省内で森友問題についての行政文書の書き換え問題について報道陣に説明した。自身の辞任の可能性については否定した。主なやりとりは以下の通り。

 麻生氏(冒頭) 全省上げて、職員の聴き取り、文書の確認を行い、決済報告書き換えの事実について調査を実施しました。結果、2月下旬から4月にかけて、本省理財局において森友事案について14件の決済文書の書き換えが行われていたことが明らかになっております。決済をした行政文書について、書き換えを行うということは極めてゆゆしきことであって誠に遺憾だ。深くおわびを申し上げる次第です。今後、進行中の捜査にも全面的に協力するとともに二度とこういった事態が起こらないようにするよう財務省として調査を進めてその上で信頼回復に向けて努力して参りたいと考えております。私の方からは以上です。

 -本省の財務省職員の関与があったと。その点について

 麻生氏 今般の書き換えが行われた決済文書は近畿財務局のものがほとんどだが、財務省理財局からの指示で書き換えが行われた。私どもとしては、理財局の一部の職員により行われたことは事実であると。

 -省ぐるみではないか

 麻生氏 意味が分かりません。私どもとしては、理財局の一部の職員によって行われたのは事実であって。

 -誰がいつどのように、という詳しいところは

 麻生氏 (地検の捜査が行われている)今の段階では個人に聞くというのは。地検の捜査が終わった段階でないと進められない。

 -先日の会見で(辞任した)佐川(宣寿・前国税庁長官)前局長のさらなる懲戒処分に言及していたが、その財務省の調査が終結してからということか

 麻生氏 そういうことです。

 -(書き換えが始まったのが)「2月下旬」というと、一連の報道がなされて問題が起きてからか

 麻生氏 佐川の答弁と文書の間に齟齬(そご)があるということで、佐川の答弁に合わせて(文書を)書き換えたと。

 -野党からは大臣の進退はという声が上がっている

 麻生氏 私の進退については考えていません。

 -「ゆゆしき事態」と仰った。ご自身の進退も含めて責任を取るほどの事態とは受け止めていないということか

 麻生氏 私の進退については考えていません。今申し上げた通り。

 -このような事態が起きるというのは財務省が組織として問題があると思うが、どう考えるか

 麻生氏 私としては財務省の理財局の一部の職員の不正というのは認めなきゃいかんと思っている。財務省全体としての信頼が、一部のものによって全体の信頼が失われている事態になっているのは甚だ残念だが、私としては財務省全体の組織が(問題ある)とは考えていません。

 -一部の方に問題があったと

 麻生氏 書き換えがあったというのは事実。決済文書があとで書き換えたというのが問題だ。

 -よほどのことがないとやらないと思うが

 麻生氏 少なくとも理財局の中において、理財局長の答弁と過去の資料との齟齬が出たということで、国会答弁の齟齬が起きるということで考えてやったということだと思います。

 -大臣ご自身が財務相の時に書き換えが行われている

 麻生氏 (質問者)もうちょっと分散してくんねぇかな。(1社の)インタビューじゃないから。

 -答弁に合わせて書き換えたというのは本来逆じゃないか。答弁に合わせるために事実を書き換えたのか

 麻生氏 佐川の2月から3月にかけての答弁に合わせて、書き換えたということだと。

 -資料に基づいて答弁すべきではないか。責任はどう考えているのか

 麻生氏 佐川が減給の上で辞めるということになった。

 -大臣ご自身が財務大臣の時に書き換えが行われた。監督責任は

 麻生氏 残念、残念、まことに残念だと思っている。誠に申し訳ないと思っている。

 -昭恵夫人についての発言が削除されていた。これはどうしてなのか

 麻生氏 少なくともあの文書では、経緯は知らんけど、他に政治家の名前が与野党含めていくつか挙がっているということだが、関係者の名前が全員そろって抜けた。

 -首相が、首相夫人が関係していたら辞任するという発言があったからこそ、守るために削除したということではないのか

 麻生氏 全然関係ないじゃないですか。文脈からして。

 -大臣が書き換えの事実を知ったのはいつか

 麻生氏 えっと3月何日だっけ、11日か、11日。

 -忖度(そんたく)が働いた

 麻生氏 考えていない。

 -大蔵接待というのが90年代にあった。組織の問題と考えているか

 麻生氏 問題の本質はまったく違うと思いますけど、私としてはこういったようなことが二度と起きないようにしなきゃならんというのは思うが、その時のことと同じようなものとは考えていない。

 -どちらが重たいか

 麻生氏 どちらが重たい? 今の段階で申し上げる段階にはありません。

 -書き換えの指示系統の1番のトップはどなたか

 麻生氏 書き換えの1番トップはその時の担当者で、はんこからしてそんな偉いところじゃないと思いますが、最終的な決済として理財局の長だということというのは佐川が理財局の長であったから理財局長ということになると思います。

 -佐川さんの判断で書き換えを行ったということか

 麻生氏 佐川の判断の前の段階だと思うんですね。捜査が全部終わっているわけじゃありませんから何とも言えませんけどもそういった判断をしているのではないんだと思いますので、いずれにしても書き換えは当時の理財局の一部によって行われたんで最終責任者が理財局の局長である佐川、ということになるんだと思います。

 -大臣が昨日お知りになるまで、佐川さんより上への報告、相談というのは無かったのか

 麻生氏 そういうものはこの文書に関してはないと思います。

 -局長の前の本省の課長が指示したのか

 麻生氏 部長とかそのへんのところだと思います。ちょっと正確な記憶ではありませんけど。

 -書き換えられた資料を基に国会議員はこの1年間議論してきた。その責任は

 麻生氏 あの、行政のあり方として基本的に決済文書を書き換えたというのは甚だゆゆしき問題、私どもはそう思っていますんで、私どもとしてはこういったことが二度と起こらないようにするというところが一番肝心なところだと思います。

 -正しい行政文書じゃない文書で国会議論が行われていたと思うが、元の文書じゃない文書で国会で議論されていた。その責任についてどうお考えか

 麻生氏 今申し上げた通り。

 -この1週間、調査するようにということだったが、なかなか出てこなかった。ようやくこの1週間たって出てきた。この時間、何を調査していたのか。隠蔽(いんぺい)じゃないかと思われかねない。

 麻生氏 私どもとしては少なくとも、事務方においてどういう内容について調査したか、事務方に聞いた方がいいと思うが私どもとしては途中報告があったわけではありませんし、事務方に聞かれた方がいい。

 -隠蔽(いんぺい)ではないと

 麻生氏 当然です。