札幌市豊平区で16日夜に起きた爆発事故で「アパマンショップ平岸駅前店」を運営するアパマンショップリーシング北海道の佐藤大生社長が18日会見し「廃棄予定の消臭スプレー120本のガス抜きをしていた」と説明した。スプレーには引火性の高いジメチルエーテルが含まれているが、重傷を負った男性店長(33)は「可燃性と認識していなかった」と話しているという。

スプレー缶の廃棄処理をしていた店長、店内にいた20代の男性従業員と17日夜に入院先の病院で面会し、聴き取りを行った佐藤社長によると、店内には新品の消臭スプレーが約160本あり、事故当時は廃棄予定の120本のガス抜きをしていた。従業員は別業務にあたり、ガス抜きは店長が1人で行っていた。

店長は「120本ほどの中身を1度に噴射した」と話している。スプレー缶は静岡市のメーカーの製品で1缶200ミリリットル。缶を床に置いて噴射させるタイプで、ボタンを押し込むと約4分間にわたって自動で全量噴射する。2人とも煙たくて外に出ていたが、20分ほどして店に戻り、手を洗おうと給湯器のスイッチを入れた時、爆発した。

スプレーは可燃性のジメチルエーテル(DME)を使用しており、「可燃性 極めて引火性の高いエアゾール」と表示されているが、店長は「危険という認識はなかった。可燃性と認識していなかった」と説明しているという。

ドアや窓を閉め換気もせずに噴出させていたとみられ、佐藤社長は「店舗の中で120本も散布するという通常では考えられないことをしている。正直なところ、なぜだろうと思う」と話した。佐藤社長によると、通常、店舗に置かれるスプレー缶は50~60本で、200本の在庫も多いという。1階と2階が外階段でつながっている建物で、各階の部屋のガス密度が高くなりやすい構造だった。

「平岸駅前店」は爆発がなければ2日後の18日に店を改装する予定で荷物の整理中だった。急いで処分したとみられるが、佐藤社長は同店では、スプレーを使う消臭・抗菌サービスを顧客と契約しながら、実施していないケースがあったことを明かした。仕入れ値は約1000円だが、代金は1万~2万円だといい、「スプレーを廃棄していたのはサービスを実施していなかったことが一因」との見方を示した。佐藤社長は同社が運営する道内全13店舗で、契約した消臭サービスを実施しているかどうか調査し、未実施なら返金する方針。

「アパマンショップリーシング北海道」の親会社、APAMANは18日、「心よりおわび申し上げます」とのコメントを発表した。