戦争による北方領土の奪還論に言及し、日本維新の会を除名処分となった丸山穂高衆院議員(35)は16日、問題発覚後、初めて開かれた衆院本会議を欠席した。衆院事務局に欠席届を提出したが、理由は不明だ。無所属となった丸山氏の議席は、野党エリアの最前列にお引っ越しし、欠席が余計目立つ形となった。

丸山氏は13日夜の会見以降、“雲隠れ”が続く。辞職勧告を拒否する意向などを、ツイッターで一方的に主張するばかりで、報道陣が待つ本会議場には現れず、説明責任の果たし方にも疑問符がつく形となった。

一方、野党が提出を検討する丸山氏への辞職勧告決議案をめぐっては、どの党が主導するかで「たらい回し」状態で、具体的に進展しなかった。過去に同決議案が可決された4人は刑事事件に絡むケースで、今回のように失言が理由となるのはそもそも異例。政治家の出処進退は自ら決めるという原則論に加え、失言で辞職勧告が可決されれば、「辞職へのハードルが一気に下がる」(野党関係者)という警戒感もくすぶる。

自民党で失言防止マニュアルが配られるほど、政治家の言葉の質が低下傾向にある中、失言はどの党派でも起こり得る。「ブーメラン」を避けようと、各党が二の足を踏んでいる状態だ。ただ、丸山氏は北方領土の元島民に酔った状態で「戦争」を口にするなど、単なる失言のレベルではなく、「衆議院としてけじめを示すべき」との声は強い。

維新は16日、立憲民主党に辞職勧告決議案の共同提出を提案したが、立民は与党も含めた各党との共同提出を目指す。提出の見通しは不透明で、今回の問題がうやむやになることへの警戒感もある。【中山知子】