第161回芥川賞、直木賞の選考会が17日、都内で開かれ、芥川賞は今村夏子氏(39)の「むらさきのスカートの女」(小説トリッパー春号)、直木賞は大島真寿美氏(56)の「渦 妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん) 魂結(たまむす)び」(文芸春秋)が受賞した。受賞決定後、2人が都内で会見を行った。

今村氏は大学卒業後、アルバイトを転々とし、20代半ばから5年間、ホテルで清掃を行っていた異色の経歴を持つ。今村氏は11年にデビュー後は太宰治賞、三島由紀夫賞、野間文芸新人賞などを受賞。芥川賞はノミネート3回目で初受賞となった。「本をたくさん読む方ではないので…。芥川龍之介の本はあまり知りません」と恥ずかしそうに明かしながらも「大変驚きました。とてもうれしい」と受賞を素直に喜んだ。

今村氏はプライベートでは、2歳の娘の母親でもある。「娘には特に報告しません。あんまり読んでもらいたいと思わない」と言いながらも「いつか娘に読ませたいと思うものを書きたい」と笑顔を見せた。賞金100万円の使い道は「貯金です。使いません」と手堅さをのぞかせた。

芥川賞受賞作は、語り手と、語り手が気になって仕方がない近所に住む「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性の物語。芥川賞選考委員の1人、小川洋子氏によると、最初の投票で今村氏の作品への支持はすでに過半数に達しており、2回目の投票でさらに点数を伸ばしたという。「文句なしの決定でした」と明かした。【近藤由美子】