吉永小百合(74)が26日、都内の二十五世観世左近記念観世能楽堂で行われた「五島の椿プロジェクト発表会」に出席した。

五島の椿プロジェクトは、人口減少と若い世代の県外流出が進行する長崎県の五島列島に自生する椿を核に、商品開発から消費までを循環させることで、継続可能な産業と雇用を創出し、新たな地域活性のモデルケースを目指すもの。吉永は、その趣意に賛同して椿サポーターに就任。この日は、五島のツバキで染めた着物を着用して登壇した。

吉永は11年にプライベートで五島列島を訪れ「本当に人間が住んでいく上での、オリジナルなところ、原点という感じが致しました」と感銘を受け、翌12年も訪問。19年公開の映画「最高の人生の見つけ方」の撮影が長崎市で行われることが決まると、五島列島をロケ現場の1つに選ぶことを製作陣に提案し、共演の天海祐希と撮影を行った。その後、同年春に五島の椿プロジェクトのCM撮影も行った。

五島列島は長崎市から100キロ離れており、若い世代は進学のため島を離れていく。最大の課題は人口減少で、出て行った若者を五島に戻すには基幹の農林水産業、観光に加え新たな産業が必要だ。五島列島全体の人口は6万人で、最大だった昭和30年代の15万人から60%減少した。五島市の野口市太郎市長は「最大の課題は人口減少。出て行った若者を五島に戻すには基幹の農林水産業、観光に加え新たな産業が必要。なかなか新しい産業、雇用が生まれない中、1000万本以上自生しており、大きな地域資源であるツバキに着目していただいた」と現状を説明した。

吉永も撮影の際、波止場から船出する船に乗った教師が、島の生徒たちからテープを投げられ、見送られる光景を見たという。「胸が切なくなるような光景で、そういう島で生き生きと生活したらすてきだと思った。今回のプロジェクトは、私も少しは力になれるかなと思いました」と五島列島の活性化に一肌脱ぐことを決めた。

この日は、中村法道長崎県知事、染織家の志村洋子氏、一般財団法人松下財団の松下剛代表理事が登壇した。【村上幸将】