新型コロナウイルスの感染拡大は、国内外の企業や店舗の経営に大きな影響を及ぼしている。メキシコのコロナビールが「必需品ではない」との政府判断で、一時製造中止に追い込まれる中、日本では「コロナ」の名前で頑張っているホテルがある。大阪市の大阪コロナホテルは風評被害に加えて業界的に逆風が吹く中、経営面でのコロナ対策を次々と打ち出し、奮闘を続けている。

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大阪コロナホテルの担当者によると、新型コロナウイルス感染拡大を受けた外出自粛要請などから、客足は遠のいているという。客室は全120室。「例年3、4月は卒業旅行や研修などもあって、客室稼働率は90%ですが、今年は20~40%。外出自粛要請からキャンセルも多いです」。この時期の通常単価は1室8000~1万円と1年の中でも高めだが「今は半額程度です」と、明かした。

ホテルには「コロナウイルスと関係があるのか」「コロナウイルスと名前が同じだから、予約をやめようかな」といった電話などもあったというが、早い段階から、館内の各所に消毒液を配置するなど、衛生管理を徹底してきた。担当者は「(ホテルの)名前が名前なので、とても気をつけています」と話す。風評被害を受けても、ホテル名を変える予定は「50年続くホテルなので、検討もしていません」と断言した。

経営面でも、ランチ営業を開始したほか、JR新大阪駅から徒歩2分の立地を生かし、新幹線の待ち時間用などに1時間1000円プランを打ち出している。

一時生産停止に追い込まれたコロナビールには、親近感を抱いていた。フロントでも、コロナビールを販売。担当者は「おこがましいですが、同じ名前つながりとしては、一時生産停止は寂しい。一緒に頑張りましょうという気持ちもあります」と話した。

今では「(風評被害に)負けないで」などと、応援の電話やメールなども多数届いているという。「ありがたいことです」と感謝しながら「今は耐えるしかない。感染拡大が収束したら、ぜひ来てほしい」と呼び掛けた。【近藤由美子】