検察庁法改正案に異議を唱える検察OBが15日、法務省に反対の意見書を提出し、都内で会見した。

清水勇男・元最高検察庁検事(85)は「閣議決定で定年延長を決めるのは、検察庁法の規定を変更すること。法律改正の手続きをしないのは三権分立に反する。国会で決めるべき問題を一内閣の判断で決めるのは、明らかな憲法違反だ」と批判した。

松尾邦弘元検事総長(77)は「ある検察官に延長を認め、他に認めないことで、政権内部で検察に対する1つのアクションを取り、影響を与える余地が生じるのではないかという危惧が非常に強い。議論のテーマにすること自体が1つの問題。危ないものを含んでいる」と指摘。「今までにない動き」とも述べ、今回の動きの異様さを口にした。

両氏は、田中角栄元首相らが逮捕、起訴された76年のロッキード事件を担当。清水氏は「あの事件で、角栄さんまで逮捕できたのを成功とするなら、政治的な影響は全くなかった。当時は政治家も、あまり事件に関与、口出しはしなかった」と語った。松尾氏は、渦中の黒川弘務東京高検検事長に伝えたいことを問われ「世間で言われていることに当たっていないことも結構あるが、個人的希望としては検察の中で十分、議論するとスタイルを、ぜひ黒川さんが先頭に立って深めてもらえれば」と、注文を付けた。【村上幸将】